「虚構と現実を混交することで、虚構を現実化させ、現実を虚構化させる、絶えざる思弁の運動体」――そんな定義のもと10篇の作品を掲載し大きな話題を呼んだ「SFマガジン」の特集を、さらに12篇の書き下ろしとともに書籍化し、発売前重版も決定した『異常論文』(ハヤカワ文庫JA 1500)。
小説や映画、ゲーム、VTuberやネット文化、実話怪談や心霊ドキュメンタリー、フェミニズムや差別といった様々な角度からホラーを扱い、同じく発売前重版された「早稲田文学」2021年秋号(特集:ホラーのリアリティ)。SFとホラー。それぞれの今ありうる臨界点を浮かび上がらせた2冊のあいだには、ジャンルを超えた問いが幾つも存在する。
虚構は現実とどう関わり、往還し、乗り越えるのか。デジタル・ネット文化は表現にどのような影響を与えるのか。「異常」とは、「恐怖」とは、表現にとって、さらには現実にとって、何を意味するのか。
2冊が開いた地平を足がかりに、SFとホラーの現在、さらにはその先にありう未来を探りたい。登壇者は5名。
「早稲田文学」にマーク・フィッシャー『The Weird and The Eerie』の翻訳・解説、ならびに複数のSF・ホラー作品を分析した論考「時空間のホラー 怪奇なアルゴリズムとぞっとする時差」を寄稿している、美術家の大岩雄典さん。
『異常論文』に小説「ザムザの羽」を、「早稲田文学」にユキミ・オガワ「煙のように、光のように」の翻訳・解説と、小説「白い壁、緑の扉」を寄稿している、作家の大滝瓶太さん。
国内外あるいはウェブ・書籍問わず様々なSF作品に詳しく、「早稲田文学」では「SCP財団」やそれと関連する作品群をめぐるエッセイを寄稿している、SF書評家・研究家の橋本輝幸さん。
『異常論文』の提唱者にして編者であり、「文藝」2021年秋号では初のホラー作品も発表した、作家の樋口恭介さん。
司会は、「早稲田文学」2021年秋号の企画担当ならびに編集者であり、『異常論文』には小説「無断と土」を寄稿、同書のカバーデザインも手掛けた山本浩貴がつとめる。2冊の書き手が行き交うなかで、はたしてどのような領域が生じるのか。
ぜひ立ち会って欲しい。文責・山本浩貴(いぬのせなか座/早稲田文学)
(Webサイトより)
『異常論文』「早稲田文学」2021年秋号(特集:ホラーのリアリティ)刊行記念イベント
「SF/ホラーの先に何があるのか?」
大岩雄典×大滝瓶太×橋本輝幸×樋口恭介×山本浩貴(司会)日時:2021年10月31日(日)21:00~
※アーカイブ配信は11月14日24時まで視聴可能場所:toi books Channel(オンライン)
入場料:1,500円(税込)