九条のシネ・ヌーヴォにて、「妖怪特撮映画祭」が開催。大映や角川映画の豊富なライブラリー作品を次世代に継承すべく立ち上げられた「角川シネマコレクション」が、特撮(特殊な技法や機材で非現実に現実感を持たせる撮影技術)を駆使して具象化された幽霊、怪獣、宇宙人らが登場するいわゆる特撮映画を厳選。2021年10月9日(土)から4週間にわたり、30作品を一挙上映する。
特撮映画の歴史は古く、映画草創期には「トリック撮影」と呼ばれ、主に忍術映画などに活用されてきました。しかしながら、その技法は、二重露出、ディゾルブ、逆回転、コマ撮りなどといった原始的なものであり、技術的観点から表現できる題材は限られていました。その状況を一変させたのが、のちに『ゴジラ』(1954)を世に送り出し、「特撮の神様」と呼ばれる円谷英二の登場です。戦前よりスクリーン・プロセスの開発など新技術の開発で知られていた円谷は、日本海軍による真珠湾攻撃、英国艦隊撃滅を再現した『ハワイ・マレー沖海戦』(1942)で一躍その名を知られるようになりました。精巧なミニチュアを駆使して、本物と見紛う映像を作り上げ、観客に大きな驚きを与えたばかりか、「特撮映画」と呼ばれるジャンルを確立させることに成功。円谷によってもたらされた「特撮映画」は、新技術へのあくなき探求により映画の表現領域をさらに大きく広げ、以降、多種多様な映画が作られていくことになりました。
今回、「妖怪・特撮映画祭」開催にあたって、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の原点として是非ご覧頂きたい『妖怪百物語』にはじまる「妖怪三部作」、そして新作で重要な役どころを担う「大魔神」三部作を4K化。加えて55周年プロジェクトが鋭意進行中のガメラについては、『大怪獣ガメラ』から『宇宙怪獣ガメラ』までの昭和ガメラ・シリーズ8作品と、『小さき勇者たち~ガメラ~』をセレクト。他にも大映特撮を語る上では外せない日本で初めての70mm映画『釈迦』をはじめ、ゴジラの着ぐるみ制作にもかかわった造型家の大橋史典が造型を担当した『鯨神』や『大江山酒天童子』などバラエティに富んだ作品を選びました。
近年、関係者らの働きかけにより「特撮」を文化としてとらえ、次世代に継承していく運動が活発化しており、その結実の一例が2012年に東京都現代美術館で開催された「館長庵野秀明特撮博物館ミニチュアで見る昭和平成の技」であり、2020年、円谷英二生誕の地に設立された須賀川特撮アーカイブセンターです。 日本で独自の発展を遂げ、日本が世界に誇るミニチュアや着ぐるみを使ったアナログ特撮を用いた現場はその数を減らし、『シン・ゴジラ』がフルCGで描かれたようにデジタルへの移行が加速度的に進んでおります。今回ラインナップされた作品は、そのアナログ特撮の魅力にあふれた作品群であり、最近の映像に慣れ親しまれている方にとっては新鮮な驚きを感じて頂けると考えております。円谷英二によってもたらされ、『シン・ゴジラ』を経て現在に至るまで連綿と続く特撮映画史の中で、「物語に溶け込む特撮」に定評のある大映特撮の作品群をご堪能頂ければ幸いです。(Webサイトより)
期間: 2021年10月9日(土)〜11月5日(金)
会場: シネ・ヌー ヴォ
※上映作品、スケジュールはシネ・ヌーヴォWebサイト参照
料金:一般 1,500 円、学生・シニア 1,100 円、会員 1,000 円、当日5回券 6,000 円、 シニア・学生5回券 5,000 円、会員5回券 4,500 円、前売1回券 1,200 円、前売5回券 5,000 円
企画: KADOKAWA
問合:06-6582-1416
大阪市西区九条1-20-24