2003年より大阪市の文化事業としてスタートしたBreaker Project(ブレーカープロジェクト)。芸術と社会をつないでいくことを目的とした地域密着型アートプロジェクトとして、西成のまちを舞台に、多彩なアーティストと協働してプロジェクトを展開してきた。2020年度からは川村文化芸術振興財団のソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成を受けて、美術家・きむらとしろうじんじんと共に新プロジェクト「ちょちょまうヴァナキュラー 〜にしなり+路上+野点+屋台(略称:ちょちょヴァナ)」に取り組んでおり、その「秋の本番」と題したイベント「ちょちょヴァナ その1」が、西成区の「今宮つながり広場」にて開催される。
「ちょちょヴァナ」とは、参加者が考える多種多様な「魅力の予感」を大小様々な屋台として公共空間に持ち出し表現の場を創出することで、日常の中に新たな風景を生み出していくもの。規制や管理をめぐる様々な課題を考察・再考するアートの実践だ。
プロジェクトのパートナーであるきむらは、リヤカーに陶芸窯などの道具一式とお抹茶セットを積んで全国各地を回り、出会った人々とお茶碗を焼いてお茶を飲む「野点―焼立器飲茶美味窯付移動車」 を1995年から開催してきた。野点の一連の作業を通して、異なる年齢、性別、 肩書、国籍などの様々な立場の違いを超えて等価に存在できる場を実現、普段は会うことのない多様な人たちが出会ってしまう場、時には奇跡的な「越境」が生まれる場を創出している。この「野点」=陶芸屋台のメソッドをベースに、様々な人とそれぞれが考える魅力を「路上」に持ち出し、そのプロセスのなかで場所や地域に対するさまざまな感情や思考、対話を誘発することを目的として、今回のプロジェクトが企画された。
イベント当日は、きむらによる「野点」 開催のほか、地元の大阪府立今宮工科高等学校生徒や地域の有志による「妄想屋台」(科学実験屋台や見立て屋台、本の屋台、こだわりのコーヒー屋台など)が展開される。
きむらとしろうじんじん
1967年新潟県生まれ、京都府在住。京都市立芸術大学大学院美術研究科で陶芸を学ぶ。修了後、アート&コミュティーセンター の運営やHIV/AIDS・セックス・セクシャリティーに関するNGO活動の立ち上げ・運営、滞日外国人支援のためのカフェの立 ち上げ・運営に関わる。1995 年より、大小2台のリヤカーに、陶芸窯・素焼きのお茶碗・うわぐすりなどの陶芸道具一式と、 お抹茶セット一式を積んでまちの様々な場所にあらわれる移動式カフェー旅回りのお茶会「野点―焼立器飲茶美味窯付移動車」 を全国各地で開催、現在も絶賛続行中。2010〜2013年度には東京アートポイント計画の一環として、一般社団法人「谷中のおかって」とともに東京都台東区谷中界隈を舞台にこども創作教室「ぐるぐるミックス」の立ち上げに関わる。2011年の震災 を契機に岩手・釜石のかまいしこども園・釜石市民ホールと連携した釜石版ぐるぐるミックスも立ち上げ、続行中。ブレーカー プロジェクトとは2004・2005・2007年に新世界・西成界隈で野点を広範囲で開催し、2014年に今宮小学校での野点を契機に「作業場」の立ち上げ・運営に関わり、現在も絶賛続行中。
現代芸術創造事業 Breaker Project
「ちょちょまうヴァナキュラー 〜にしなり+路上+野点+屋台」日時:2021年10月31日(日)お昼ごろ〜日暮れまで
会場:今宮つながり広場
*会場が「旧今宮小学校」より変更になりましたのでご注意ください。料金:無料(野点のお茶碗作りなど一部有料)
問合: ブレーカープロジェクト事務局 070-5046-8667 info@breakerproject.net
今宮つながり広場
西成区天下茶屋北2-6-24