大阪・北加賀屋を拠点に、設計から施工、舞台美術や映画制作、バーの運営に至るまで、建築の役割を固定化することなく動き続けている建築家集団・dot architects。その活動の全貌を紹介する展覧会「ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING 生きるための力学」が、2023年5月18日(木)から8月6日(日)まで、東京・青山のTOTOギャラリー・間にて開催される。
dot architectsの活動は、建築の計画/設計/施工/使用を同じ地平でとらえ直し、そのすべての過程に取り組むことを特徴とする。手の届く範囲にある材料や人手、知己、地縁をも資源として生かす。そうした実践から、すべての人が自ら使う建築に能動的に関わる可能性を模索している。
展覧会タイトルの「POLITICS OF LIVING」が指すのは、「小さな自治空間」をつくり出す力だ。「LIVING」は直接触れられる相互関係のなかで日々経験することを、「POLITICS」は間接民主制による中央集権的な仕組みではなく、小さく局所的な、⾃らが治める空間を意志と妥協をもって創造することを表す。つまり、情報や統計や未来予測によって平準化されていく⽣から、さまざまな特異性に満ちた個々の「⽣」を、私たち⾃⾝が⾃律的に⽣み出す⼒と言える。
会場では、「設計する」「つくる」「使う」という役割を横断・思考した建築模型のほか、拠点である北加賀屋を中心に大阪の歴史と都市・建築の成り立ちを探ったリサーチ、イタリアはトリノ・ミラノにおける、使われなくなった公共建築を市民が図書館や劇場などとして自主的に管理・運営する事例の調査報告も展示。さらに、Tシャツに印刷できるシルクスクリーン工房やライブラリーコーナー、その場でパターをつくって参加できるパターゴルフ場も登場し、実際に余暇を自らつくり楽しむコーナーも設置される。2023年6月2日(金)には、「POLITICS OF LIVING」をテーマとした講演会も開催予定だ。
なお、2023年5月に刊行されるdot architects初の作品集であり本展の関連書籍『POLITICS OF LIVING 生きるための力学』は、編集をMUESUMが、デザインをUMA/design farmが、撮影を同代表の原田祐馬が手がけている。「デザインする状況をデザインする」を目的として2009年にはじまったプロジェクト「DESIGNEAST」をはじめ、同じ大阪で、長年にわたり協働してきた面々がタッグを組んだ仕事にも注目だ。
家成俊勝、赤代武志により2004年共同設⽴。⼤阪・北加賀屋にて、分野にとらわれない人びとや組織が集まる「もうひとつの社会を実践するための協働スタジオ」コーポ北加賀屋を拠点に活動。設計、施工のプロセスにおいて専門家・非専門家に関わらずさまざまな人との協働を実践している。設計だけに留まらず、現場施工、リサーチプロジェクト、アートプロジェクトなどさまざまな企画にも関わる。
(TOTOギャラリー・間Webサイト「ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING 生きるための力学」より抜粋)
「ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING ⽣きるための⼒学」
会期:2023年5月18日(木)~8月6日(日)
会場:TOTOギャラリー・間
時間:11:00~18:00
休館:月曜・祝日
入場料:無料
問合:03-3402-1010
主催・企画:TOTOギャラリー・間
運営委員会:特別顧問=安藤忠雄、委員=千葉学、塚本由晴、セン・クアン、田根剛
後援:一般社団法人 東京建築士会、一般社団法人 東京都建築士事務所協会、公益社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部、一般社団法人 日本建築学会関東支部
関連イベント
ドットアーキテクツ講演会「POLITICS OF LIVING 生きるための力学
日時:2023年6月2日(金)17:30開場、18:30開演
会場:イイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1飯野ビルディング4F)
申込:TOTOギャラリー・間Webサイトから要申込
※2023年5月21日(日)申込締切
※応募者多数の場合、抽選の上、5月26日(金)までに結果を通知
関連書籍
著者:ドットアーキテクツ
編集:MUESUM
デザイン:UMA/design farm
発行:TOTO出版(TOTO株式会社)発行年月:2023年5月
体裁:A4判(297×210mm)、並製、240頁 、和英併記
ISBN:978-4-88706-400-3
定価:4,400円(本体4,000円+税10%)
東京都港区南青山1-24-3
TOTO乃木坂ビル3F