海外のアーティストを受け入れトークや展示などを企画する大阪のアートハブ・TRA-TRAVELが、新たな試みとして、”アーティストと共に飲む”をテーマにしたカジュアルなトークイベント「Beer with Artist」を開催する。
本イベントの目的は、来日したアーティストと一緒に食事やお酒を楽しみ、会話を交わし、新たなつながりを築くこと。一般的なアーティストトークとは異なり、気軽な交流が生まれる空間を作り出すことを目指している。
第1回目は、オーストリア出身の現代アーティスト、ファニ・フッタークネヒトをゲストに迎える。お酒やコーヒーを飲みながら、彼女の作品やアーティストとしての思考、そして現在の関心事について深く掘り下げ、自由な会話を楽しむ。
ファニ・フッタークネヒト(Fanni Futterknecht)
オーストリア・ウィーン出身のビジュアルアーティスト。
ゲリット・リートフェルトアカデミーとウィーン美術アカデミーでファインアートとメディアアートを学び、後にフランスでパフォーマンス、空間、身体について研究を行う。
フッタークネヒトの作品は、パフォーマンス、デモンストレーション、ビデオ、インスタレーションなど多様な手法を用いており、詩的な解釈で社会問題を反映している。また、パフォーマンスやインスタレーションは創造的に変化し続ける進行形の彫刻だと考え制作を行っている。ICAリサーチフェローとして京都に滞在中。
なお、TRA-TRAVELのQenji Yoshidaが行ったアーティストへのインタビュー記録が届いたので、以下に掲載する。
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イベント前のインタビュー 2023年5月15日:
Qenji Yoshida(以下QY): もちろんイベントでもお聞きする予定ですが、Fanniさんがどんなアーティストで、どんな領域を扱っているのか、簡潔に自己紹介いただけますか?
Fanni Futterknecht(以下FF):今回は招待ありがとう! Beer with Artistというアイデアも好きだし、自分の作品について話したり、大阪で知らない人達と交流する機会がもてること楽しみです。
私はウィーンを拠点に活動するビジュアルアーティストで、パフォーマンス、インスタレーション、ビデオ、テキストなど、主に物語性のあるさまざまなメディアを使って作品を作っていて、プロジェクトによってはパフォーマーやミュージシャンとコラボもよく行っています。最近は「kritzeln(落書き)」に関心があって、書き言葉や話し言葉の拡張形としてや、抗議運動のジェスチャーとして応用した制作も行っています。
QY:写真もいくつか見せてもらったんですが特にパフォーマンスが気になっています。今回の日本滞在ではどんなプロジェクトをしているんですか?
FF:今回、京都のICAフェローシップの枠で来日していて、社会や政治的な側面から「遊びの文化」や「おもちゃ」をテーマにしたリサーチをするために来ました。私たちの日常生活の中で、遊びがどこから始まり、どこで終わるのか、幅広いイメージやアイデア、あるいは想像力を得たいと考えリサーチを進めています。
QY:日本は遊びの文化が発展しているしリサーチをするには良い環境そうですね。でも半面、日本でプロジェクトを実施する難しさもありませんか?
FF:その通りですね。日本は、遊びやゲームについては無限の機会と刺激を提供してくれる場所なので、このリサーチにとっては完璧な場所だと思います。
日本での滞在は3回目になりますが、東京や大阪に比べると京都は少し閉鎖感を感じます。あと、やはり言葉の壁がありますね。日本では紹介で繋がる文化があるように思いますが、外国人という立場上、他の方の手助けに身を委ねる形になりがちです。素晴らしくもあり、自分自身で何か解決したい場合には、息苦しくなることもありますね。
QY:今回は「Beer with Artist」という名前の企画なので、オーストリアのお酒文化についても1つ質問していいですか? 例えば 日本には「飲み会」という言葉があります。友人同士などで居酒屋などに集まって一緒に飲みながらお喋りを楽しむ会、みたいなものです。例えばビジネスシーンでは打ち合わせや会議ではなく「飲み会」で契約を取ったり、恋愛市場では合コンという「飲み会」があったり、いろいろ社会的な機能があったりします。オーストリアはいかがですか?
FF:日本の「飲み会」には何回も参加したことがありますよ。前に東京にいた時にはかなり飲み歩いた思い出があります。
オーストリアでもお酒文化は強くて、やはり「オフィスではなく、契約はバーで結ばれる」という言葉もあります。とはいえ、かなり文化的には違いますね。
ヨーロッパの中ではオーストリアの人たちはシャイだと思うのですが、自分たちが納得できないこと、嫌いなことに対しては、本当にまっすぐぶつかってきます。
日本では問題や不快感に対して、直接的でない方法で対処し、相手にとって不快な状況を避けることを探り、対立を避けようとする文化があると思いますが、オーストリアは、その逆ですね。でも結果、人々はより多くを語り、特に酔っているときは一層激しく議論し合います。
QY:ああ、確かに僕も対立を好まず、弁証法というか、第三の提案とかをすぐ考えがちです。対立を好まないのって島国で調和を重んじるから、みたいな事も言ったりしますね。政治的、あるいは社会、地政学的な影響なのか・・もう少し話したいですが続きはバーで!
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“Beer with Artist”
vol.1 ファニ・フッタークネヒト(Fanni Futterknecht)日時:2023年5月21日(日)18:00〜
※入退場自由、予約不要会場:Hoffma
料金:無料(ワンドリンク・オーダー制)
言語:英語、日本語
主催:TRA-TRAVEL
共催:Hoffma
大阪市中央区谷町6-13−6