出版社の編集者やライターとして本づくりの可能性を追求してきた末澤寧史(本の人代表)、出版にとどまらず、図書館・施設設計や学びのプログラム構築などに編集的視点を取り入れ、多分野でのメディアづくりを実践してきた多田智美(MUESUM代表)、グラフィックデザインを通して理念を可視化した新しい体験づくりに取り組んできた原田祐馬(UMA/design farm代表)の3人が、「読むことは、立ち止まること。」を基本理念に、2021年に大阪で設立した出版社・どく社。
同社の第3弾企画として2024年5月に発行された書籍『失われた創造力へ』(編訳著・多木陽介)の刊行記念トークイベントが、オンラインにて開催される。
「好奇心がないようなら、おやめなさい」
ーアキッレ・カスティリオーニ
「知識とは、生の現実に基づいているものなんだ」
ーエンツォ・マーリ
「聞いたことは忘れる、みたものは覚えている、やったことは理解できる」
ーブルーノ・ムナーリ革新的な工業デザイナーとして世界に知られるアキッレ・カスティリオーニの思想を日本に紹介したローマ在住の批評家・多木陽介さんが、デザイン界の巨匠たちの言葉に、これからの創造力を導く思想を探る『失われた創造力へ』が5月に刊行されました。巨匠たちの何度も読み返したくなる言葉が、表紙が寒冷紗巻きの美しい装丁に包まれ、そのデザインも大きな話題を呼んでいます。
本イベントでは、出版を記念し、版元のどく社共同代表・装幀室室長で、グッドデザイン賞審査委員などとしても活躍するデザイナー・UMA/design farm代表の原田祐馬さんが、親交の深い著者の多木さんと企画のきっかけから、本書の魅力を語ります。二人の出会いは、多木さんがイタリアで精力的に探究を行う創造力をめぐる研究や、移動教室の活動だといいます。本書を手がかりに、これからのデザイン、ものづくり、学びを考えるひととき、ぜひご参加ください。■多木陽介
批評家、アーティスト。1988年に渡伊、現在、ローマ在住。演劇活動や写真を中心とした展覧会を各地で催す経験を経て、現在は多様な次元の環境(自然環境、社会環境、精神環境)においてエコロジーを進める人びとを扱った研究(「優しき生の耕人たち」)を展開。芸術活動、文化的主題の展覧会のキュレーションおよびデザイン、また講演、執筆、そして教育活動「移動教室」など、多様な方法で、生命をすべての中心においた、人間の活動の哲学を探究。
著書に『アキッレ・カスティリオーニ―自由の探求としてのデザイン』(アクシス、2007年)、『(不)可視の監獄―サミュエル・ベケットの芸術と歴史』(水声社、2016年)。訳書に、マルコ・ベルポリーティ『カルヴィーノの眼』(青土社、1999年)、プリーモ・レーヴィ『プリーモ・レーヴィは語る』(青土社、2002年)、ウンベルト・ガリンベルティ『七つの大罪と新しい悪徳』(青土社、2004年)、アンドレア・ボッコ、ジャンフランコ・カヴァリア『石造りのように柔軟な―北イタリア山村地帯の建築技術と生活の戦略』(編訳、鹿島出版会、2015年)、アンドレア・ボッコ『バーナード・ルドフスキー―生活技術のデザイナー』(鹿島出版会、2021年)など。■原田祐馬
大阪府吹田市出身。京都精華大学芸術学部デザイン学科建築専攻卒業後、インターメディウム研究所7期生として入学。2005年まで在籍。アーティストの椿昇に師事し、UMAdesign farmを設立。どく社共同代表。名古屋芸術大学特別客員教授、グッドデザイン賞審査委員、花園近鉄ライナーズコミュニケーションディレクター、Expo Outcome Design Committeeメンバー、DESIGNEAST実行委員会など。たんぽぽの家の播磨靖夫理事長から「領域を横断してプロジェクトを横串にし、ガラガラぽんするデザイナー」と言われたことがきっかけでその意識を持ち活動を続けている。フィールドワークと現場を大切にし日本中を移動する。愛犬の名前はわかめ。
多木陽介×原田祐馬『失われた創造力へ』(どく社)刊行記念
「ブルーノ・ムナーリ、アキッレ・カスティリオーニ、エンツォ・マーリの言葉」日時:2024年8月26日(月)19:00~20:30
※オンライン開催
※イベント翌日15時から2週間、アーカイブで視聴可(配信期間:8月27日15時00分~9月10日23時59分)料金:視聴チケット 1,650円(税込)/書籍『失われた創造力へ』付き+視聴チケット 4,400円(税込)+別途送料
※チケット購入はこちら問合:MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 06-6292-7383