神戸文化ホールの開館50周年記念事業として、2025年2月1日(土)、2日(日)の2日間、チェルフィッチュ×藤倉大 with 神戸市室内管弦楽団アンサンブル『リビングルームのメタモルフォーシス』が上演される。
本作は、演劇と音楽、それぞれの分野で挑戦的な創作を続ける2人がコラボレーションした作品。ヨーロッパ最大級の芸術祭ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)が、演劇作家・岡田利規が主宰する演劇カンパニー・チェルフィッチュに新作を委嘱をしたことにより生まれた。大阪出身の作曲家・藤倉大とのコラボレーションのもとで2021年からクリエーションがスタートし、2023年5月に世界初演。2024年9月の東京公演を経て、このたび関西で初披露される。
6名の俳優と7名の演奏家が舞台空間を共有し、演劇と音楽のパフォーマンスを舞台上に並置することにより、双方が溶け合った先にあるフィクショナルな空間を生み出すことを目指した舞台芸術作品。今回の神戸公演では、神戸文化ホールを拠点に活動するオーケストラ・神戸市室内管弦楽団のメンバー7名からなるアンサンブルが出演する。
また舞台美術は、大阪を拠点に活動する建築家集団・dot architectsが担当。「リビングルームの~」というタイトルからも推測できるように、劇中ではdot architectsが手がけた美術、特に家具が重要な役割を担う。
作品について
これは演劇の上演か、音楽の演奏会か――
フィクショナルな劇空間に音の粒子が混ざり合う“音楽劇”賃貸契約の一方的な破棄により、住む家をいきなり追い出されそうになる家族の物語。
リビングルームで交わされる家族の会話が進むにつれ、やがて人智の及ばない強大な力が見え隠れし始め、
次第に不穏な空気や気配と交錯し、その問題自体が舞台上から消え去ってゆく。そして、人間の世界を圧倒する存在が上演を支配し、まったく新しい世界が舞台上に立ち現れる――
6名の俳優たちが発する言葉と、7名からなるアンサンブルの演奏が響き合い、物語が次第に音に溶け込んでいく時、計13のサウンドはどう関係し影響し合い、どのような変化を舞台上に繰り広げるのか。そして俳優たちは、ナラティブとは別の基準によって作られた「振付」を遂行し、次第に変態していく。音楽家もまた、楽譜に書き込まれた多彩な技法を用いて音楽を変容させてゆく。
舞台上が “メタモルフォーシス(変形・変身)”していく様を、私達はどう観るか。
新しい“音楽劇”のお見逃しなく!–
プロフィール
チェルフィッチュ
岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして 1997年に設立。2007年クンステン・フェスティバル・デザール(ブリュッセル、ベルギー)にて『三月の5日間』を上演、初めての国外進出を果たす。以降、アジア、欧州、北米、南米あわせて 90都市以上で作品を上演し続けている。フェスティバル・ドートンヌ・パリ(フランス)、ウィーン芸術週間(オーストリア)など世界有数のフェスティバル・劇場の委嘱および国際共同製作による創作も多数。
近年は、スクリーンに投影された映像が人の感覚に引き起こす作用によって展示空間を上演空間へと変容させる試み〈映像演劇〉を舞台映像作家・山田晋平氏とともに始動、2018年に演劇公演/展覧会『渚・瞼・カーテン チェルフィッチュの〈映像演劇〉』(熊本市現代美術館)を発表。
2021年からは、「ノン・ネイティブ日本語話者との演劇プロジェクト」を始動し、日本語を母語としない俳優を対象としたワークショップを実施、2023年に演劇作品『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』を発表。藤倉 大(ふじくら・だい)
大阪府生まれ。15歳で単身渡英し J.ベンジャミンらに師事。これまでに数々の作曲賞を受賞、国際的な委嘱を手掛ける。オペラの国際評価も高く、2015年にシャンゼリゼ劇場、ローザンヌ歌劇場、リール歌劇場の共同委嘱による《ソラリス》を世界初演。20年に自身3 作目のオペラ《アルマゲドンの夢》が新国立劇場で世界初演された。17年から東京芸術劇場で開催の「ボンクリ・フェス」アーティスティック・ディレクターを務める。23年に4度目となる尾高賞を受賞。近年の活動はリモート演奏のための作品発表や、テレビ番組の作曲依頼等多岐に渡る。録音はソニー・ミュージックジャパンインターナショナルや Minabel Records から、楽譜はリコルディ・ベルリンから出版。
神戸文化ホール 開館 50 周年記念事業 2024 劇場讃歌
チェルフィッチュ×藤倉大 with 神戸市室内管弦楽団アンサンブル
『リビングルームのメタモルフォーシス』日時:2025年2月1日(土)、2日(日)両日とも 14:00 開演(13:30 開場)
※両日ともアフタートーク開催
2月1日(土)登壇者:岡田利規(チェルフィッチュ主宰/演劇作家)、高木和弘(神戸市室内管弦楽団首席コンサートマスター)、上田希(神戸市室内管弦楽団首席クラリネット奏者)
2月2日(日)登壇者:岡田利規(チェルフィッチュ主宰/演劇作家)会場:神戸文化ホール 中ホール
作・演出:岡田利規
作曲:藤倉大
出演:青柳いづみ、朝倉千恵子、石倉来輝、川﨑麻里子、矢澤誠、渡邊まな実
演奏:神戸市室内管弦楽団アンサンブル
[ヴァイオリン]高木和弘、西尾恵子
[ヴィオラ]亀井宏子
[チェロ]伝田正則
[クラリネット]上田希
[ファゴット]赤土仁菜
[チェレスタ]法貴彩子料金:一般 5,000 円、U25(25 歳以下) 2,500 円
(全席指定/税込/前売・当日共に)
※小学生以上 18 歳以下の無料招待あり https://www.kobe-bunka.jp/hall/news/14900/問合:神戸文化ホールプレイガイド 078-351-3349
兵庫県神戸市中央区楠町4-2-2