アーティスト・稲垣元則の個展「Atlas」が、6月20日(土)よりGallery Nomartにてオープンした。
稲垣は、1990年代初頭よりB4サイズのコピー用紙へのドローイングをはじめ、世界の断片を絵筆によって手繰り寄せてきた。また、2000年代からは写真や映像による作品制作にも取り組み、木立や海の波間といった自然の風景を題材に、見えざる間合いやものごとのありようを表し続けている。
本展では、新作の映像とドローイングを中心に、過去に制作した作品も展示。現在まで連綿と続く一方向的な時間軸ではなく、すべてが等価に存在する独自の世界を立ち上げる。また会期中は、稲垣本人が毎日会場で制作と入れ替えを実施。自身の行為の軌跡によって地図(=Atlas)を描くように、展覧会を有機的に変化させていく。そして、その様子をショートムービーとしてオンライン配信することで、ギャラリーを飛び越えて展示空間を拡張しようと試みる。
Atlas アトラス
私はドローイングを続けることで、自分の成長と老いを観察しています。
私は何ができて、何ができないかを考えます。同じく何ができるようになって、何ができなくなったのかということも考えます。
20歳の頃のようなドローイングはできません。同じく20歳の私が今のようなドローイングをすることできないでしょう。人の生活や感情、それによる思考や思想の変化は必ずしも時間軸に沿っているわけではありません。昨日良いと思っていたものが今日悪いと思ったり、それがまた将来許せたりすることもよくあることです。進んだと思っていても後退していたり、停滞していると感じても全く違う場所に飛躍していたりします。それに影響されて私は成長し、また老いてゆきます。それは時間と寄り添いながらもまた別の事象であると考える場合があります。
ドローイングは信じることと疑うことを繰り返す為のフィールドになります。
ドローイングは歩くことで、考えることです。今回、私はiPhoneで映像を撮影しました。そこには軽く、固定されていない感覚があります。その感覚は継続されているコピー用紙によるドローイングに似ています。周りに余白を作って対象が動くようにするのです。それは先ほどの時間軸と自分の価値観や信じることがずれていることに対しての辻褄を合わせるためのものなのかもしれません。余白によって対象が動くようにしていれば、もし明日自分が別人のように変わってしまっても、また違う見方でこのドローイングの意味を見出せるかもしれません。言い換えればそれは自分と全く違う国や時代の誰かにも繋がってくれるのではないかという希望でもあります。
稲垣 元則 Motonori Inagaki
(Gallery Nomart Webサイトより引用)
会期:2020年6月20日(土)〜7月18日(土)13:00〜19:00 ※日曜日・祝日休廊
会場:Gallery Nomart
※会期中、毎日会場で作家本人が行う作品制作や展示替えの模様を撮影、ショートムービーとしてWeb上で公開。
※会期中は新作ドローイングを特別価格(35,000円→27,000円/税別)で販売。詳細はこちらから。
関連イベント
日時:2020年7月18日(土)開場19:00、開演19:30
会場:Gallery Nomart
料金:2,000円
出演:.es(ドットエス:橋本孝之 & sara)+林聡
〒536-0022 大阪市城東区永田3-5-22