中之島は、大阪市中央公会堂や大阪府立中之島図書館、日銀大阪支店をはじめ、大阪を代表するランドマークが建ち並ぶエリアである。かつて具体美術協会の拠点「グタイピナコテカ」のあった場所としても知られるこの地に、2022年2月には大阪中之島美術館が開館。隣接した国立国際美術館、そして東洋陶磁美術館と見渡せば、各々が独自のコレクションを有するユニークな美術館の集った「島」と言える。また、多くの文化施設が並存し、クリエイティブアイランド中之島として、今後さまざまな文化的実験も行われようとしている。
この中之島の歩みを、日本最大の都市として栄えた“大大阪”時代を中心に振り返る「モダン中之島コレクション “大大阪”時代の文化芸術発信センター」が、2022年7月30日(土)まで大阪大学総合学術博物館で開催中だ。
展示構成は、「俯瞰式大大阪案内図」「大阪市パノラマ地図」などで都市の様相を知る第1章から、経済・文化拠点を担うシビックセンターとなった時代性をめぐる第2章へ。そして、新たな文化芸術の発信地への変容を追う第3章と展開。文化施設などのパンフレットや当時の絵画、刊行物などにより日常生活・社会に浸透したイメージ図像から、中之島のありようと変遷を探っていく。資料には当時の風景を写した写真葉書も含まれ、絵画などとあわせて見れば、まちへの解像度がより上がっていくような感触を得る。さらに、朝日会館や大阪市中央公会堂のコンペ案、中之島を挟む堂島川と土佐堀川に架かる橋の解説など、周辺の建築からまちを読み解く展示も大小充実している。
また、会場の大阪大学のルーツのひとつである大阪医学校は、現在の大阪大学中之島センター(現在改修中、2023年に「大阪大学中之島芸術センター[仮称]」が開設予定)の建つ場所にあり、この地の変遷は「中之島と大阪大学」で紹介されている。その横に建てられた前述の大阪中之島美術館では、開館記念展「みんなのまち 大阪の肖像」も開催中。大大阪時代の都市が描かれた映画『大大阪観光』や、画家それぞれの視座が感じられる絵画作品を多数展示している。新しい動きが加速する中之島のまちを歩き、描かれた当時の中之島を含めた、その変遷を丸ごと堪能したい。
大阪大学総合学術博物館第16回特別展「モダン中之島コレクション “大大阪”時代の文化芸術発信センター」
会期:2022年4月28日(木)~7月30日(土)
開館時間:10:30〜16:30(入館は16:00まで)
会場:大阪大学総合学術博物館 待兼山修学館
休館:日曜・祝日
料金:無料
主催:大阪大学総合学術博物館
共催:大阪大学大学院人文学研究科、大阪大学大学院工学研究科
協力:大阪市中央公会堂、大阪歴史博物館、大阪くらしの今昔館、株式会社竹中工務店、株式会社ロイヤルホテル、大阪大学医学部医学史料展示室
後援:関西経済同友会
豊中市待兼山町1-20
大阪大学豊中キャンパス