2017年9月に大阪で創刊し、現在は京都を拠点に活動する批評同人誌『生活の批評誌』。本誌の刊行5周年を祝したイベント「『生活の批評誌』5周年集会 〜「個人メディア」という謎〜」が、2022年9月17日(土)にCalo Bookshop & Cafeで催される。
『生活の批評誌』は、企画から編集までを編集長の依田那美紀が1人で行い、発行する「個人メディア」である。イベントには依田のほか、ユニークな雑誌をつくり、発信し続ける鈴木並木(『トラべシア』発行人)、山本佳奈子(『オフショア』編集)が登壇。それぞれフィールドや来歴は異なるが、自らが手がける個人メディアのあり方や編集、メディアとしての機能などについて各々の立場から話し合い、あらためて考えようと試みる。
最新刊である『生活の批評誌』no.5の特集は、「『そのまま書く』のよりよいこじらせ方」。Webサイトでは、次のように紹介されている。
「そのまま書く」から離れたくて、離れられなくて、あいまいなままここまできた。
個人的な体験や感情を直接的な言葉で記述すること、自分について「そのまま書く」ことは、文学において、あるいはこの社会において、どこかうっすらと軽んじられてきたように思う。それでも今、ほんの一部かもしれないけど、小さな個人の小さな声を聞き合おうとする方向へと、この社会は進みつつある。
だが、その流れに勇気づけられながらも私は、「どんどん自分のことを書こう」と手放しに言うことができない。ひたすら何かにためらい、何かを危惧しているのだった。
その警戒心を決して的外れとは思わない。しかしそのありふれた危惧は、少しでも油断すれば根深く私たちの中に巣食う「そのまま書く」ことに対する蔑みへと——それは強い何者かにとって都合がいい——簡単に回帰してしまうだろう。
「そのまま書く」ことをなんのためらいもなく称揚するのでもなく、蔑みとも絶対的に距離を取った、「そのまま書く」に対する別の態度はないだろうか。それはきっと傍目から見ればこじらせた態度であるだろう。ならば追求すべきは、”よりよいこじらせ方”だ。
そう呼びかけて、この号を作った。9作品と1インタビュー、1座談会を収録。
(編集長 依田那美紀)
「生活」のなかにいかに「批評」を内在し生きるか。動かしがたい日常に抵抗するための批評同人誌として、今号は自らの発する言葉をどのように選び取るかということをテーマとする。冒頭のIngvill Kjærstein(イングヴィル・シャースタイン)の「皮のにおい」から、鮮烈な批評が連なる。依田の想いに応え、まるで書き手が時に血を流しながら言葉を記し、「この言葉を紙に印字することが必要だった!」と叫ぶ声がページの隅々から聴こえてくるかのような1冊だった。個人メディアという場で切々とした感情、込み入った事情が逡巡としてそのままに、あるいは、そのままを志向して戸惑い書き記されるその行為は、どのように社会を変えていくのか。その未来の予想も含めて、3者それぞれの視点に注目したい。
日時:2022年9月17日(土)18:00〜20:00 (開場は20分前)
参加費:会場・オンラインともに 1,200円 (会場はドリンク代別途)
予約:Peatixよりチケットを購入
主催・問合:seikatsunohihyoushi@gmail.com(『生活の批評誌』編集部)
※チケット購入者は、イベント開催後にアーカイブを視聴可能
※参加者には特典として『生活の批評通信』5周年記念号を贈呈
イベント題字:しだゆい
主催:『生活の批評誌』編集部
Calo Bookshop & Cafe
大阪市西区江戸堀1-8-24
若狭ビル5F