ロームシアター京都で2021年から始まった、ジャンルや固定観念にとらわれない「音楽」を軸とした表現活動を行うアーティストによるパフォーマンスを紹介するシリーズ 「Sound Around」。第3回目となる公演が、2023年6月24日(土)、25日(日)にロームシアター京都 ノースホールにて開催される。
今回は、大阪を拠点として活動する日野浩志郎をメインアーティストに迎え、ロームシアター京都が初めて本格的に「作曲(コンポジション)」に取り組む。
日野は、実験的なリズムのアプローチを試みるバンド「goat」や、電子音とクラシカル楽器を融合させたハイブリッドオーケストラ「Virginal Variations」、劇場空間の中で複数の音楽的要素が展開するコンサートピース「GEIST」など、多彩な手法で新しい音楽表現を生み出している音楽家だ。
太鼓芸能集団・鼓童とのコラボレーションで制作した映像作品『戦慄せしめよ/Shiver』の楽曲では、鼓童のメンバーとのコミュニケーションの中でアイデアをふくらませて作曲を進めた。(その制作の様子は本メディアのインタビュー記事に詳しい。)
本プロジェクトでも、作曲家と演奏家それぞれが意見を交わし、既知の作曲手法も参照しながら、音楽における要素の関係性(作曲者と演奏者、演奏者とスコアなど)について試行錯誤を行い、新曲を制作していく。
日野に加え、関西を拠点に国内外で活躍する4名のアーティストが参画。ダムタイプや坂本龍一などのプロジェクトにも参加している古舘健はエレクトロ二クスで参加。打楽器を演奏するのは、ヴィブラフォン・マリンバ奏者、作曲家の藤田正嘉、打楽器奏者の谷口かんな、元・太鼓芸能集団鼓童の前田剛史だ。各アーティストが自らの専門性や経験を持ち寄り、どのような音楽を練り上げるのか、そのコラボレーションの行方に期待が高まる。
プロフィール
日野浩志郎/Koshiro Hino
音楽家、作曲家。1985年生まれ、島根県出身。現在は大阪を拠点に活動。メロディ楽器も打楽器として使い、 複数拍子を組み合わせた作曲などをバンド編成で試みる「goat」や、そのノイズ/ハードコア的解釈のバンド「bonanzas」、電子音楽ソロプロジェクト「YPY」等を行っており、そのアウトプットの方向性はダンスミュージックや前衛的コラージュ/ノイズと多岐に渡る。これまでの主な作曲作品は、クラシック楽器や電子音を融合させたハイブリッドオーケストラ「Virginal Variations」、多数のスピーカーや移動する演奏者を混じえた全身聴覚ライブ「GEIST(ガイスト)」の他、サウンドアー ティストFUJI|||||||||||TAと共に作曲・演奏した作品「INTERDIFFUSION」等。2021年には、延べ1ヶ月に及ぶ佐渡島での滞在制作で書き下ろした89分の楽曲群を芸能太鼓集団「鼓童」が演奏し、豊田利晃監督が撮影、映像化した音楽映画「戦慄せしめよ/Shiver」が公開された。古舘健/Ken Furudate
1981年生まれ。京都在住。アーティスト/エンジニア/ミュ ージシャン。サインウェーブ、パルス、ドット、直線などプリミティブな素材の持つ特性を重ね合わせることで、複雑な現象を導き出すようなAVパフォーマンス、インスタレーションなどを制作。2002年より観客参加型のサウンド・アート・プロジェクト 「The SINE WAVE ORCHESTRA」を他3人のメンバーとともに主催。2014年よりアーティストコレクティブ「ダムタイプ」に参加。ダムタイプとして、59回ベニスビエンナーレ、日本館にて作品「2022」を発表(2022)。2015年より西陣織の織元である細尾とコラボレーションを開始、2019年にプロジェクト「Quas icrystal」を立ち上げ、ジェネラティブアートの手法を用いた新しい西陣織を作り上げた。他、エンジニアとして様々な作家の制作に参加している。2021年よりDJとしても活動。藤田正嘉/Masayoshi Fujita
ヴィブラフォン・マリンバ奏者・作曲家。ドラム からヴィブラフォンへ転向後、伝統的な演奏スタイルやテクニック、作曲法にとらわれない唯一無二の音とヴィブラフォンの新たな可能性を追求する。2006年よりベルリンにて作曲・演奏活動を開始。ヨーロッパをはじめ各国のイベントに出演。別名義「el fog」での活動や、Jan Jelinekと継続的なコラボレーションを行う等、幅広い活動で評価を受ける。現在は兵庫県を拠点に活動。三上雅彦とのコラボレーションアルバム『Conjecture』(2016)、映画 やブランドなどへの音楽提供も行う。2021年には集大成でもあり新境地ともいえるソロアルバ ム『Bird Ambience』を発表。Korogi社エンドースメントアーティスト。谷口かんな/Kanna Taniguchi
1993年生まれ、京都市出身。京都市立京都堀川音楽高等学校、京都市立芸術大学の打楽器科を卒業。大学在学時から美術 家やパフォーマー、ダンサー等との実験的な共演を重ね、卒業後はフリーランスの音楽家として室内楽を中心に活動。とりわけ他分野との即興演奏に力を注ぎ、各地で様々なアーティストと表現を行う。映画や演劇等にも即興演奏で参加するなど活動は多岐に渡る。 また、ガムラン合奏団「マルガサリ」メンバーとしてインドネシア音楽に取り組む。グループ内外 で、ガムランを使用した現代作品の演奏や、新作初演に数多く携わる。「オーケストラ・プロジ ェクト2022」で東京フィルハーモニー交響楽団と共演。會田瑞樹氏とのヴィブラフォンデュオリサイタル「空飛ぶヴィブラフォン」では京都室内合奏団と共演し、好評を博す。2020年4月~ 2022年3月まで京都文化芸術都市創生審議会市民委員(京都市文化芸術都市推進室)。 京都室内合奏団、アンサンブルさいさい、マルガサリ、各メンバー。師事歴は、マリンバと打楽器を、伊藤朱美子、小森邦彦、宅間斉、布谷史人、堀内吉昌、山本毅、ガムランをシスワディの各氏。前田剛史/Tsuyoshi Maeda
阪神淡路大震災の復興活動の一環で幼少期より和太鼓に親しみ、2008年より「太鼓芸能集団鼓童」入座。約10年間在籍し年間100公演を超える国内外のツアーに 参加。鼓童在籍中は太鼓演奏、唄、笛、鳴り物、踊りを 担当。その他、作曲や舞台演出もこなし「佐渡国際芸術 祭アースセレブレーション」、鼓童における全国の「学校公演」、特別演出公演「若い夏」など、多数の舞台演出を手掛ける。また歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎と「アマテラス」「幽玄」で共演。国内ではその他にもヴァイオリニストの川井郁子や、演歌歌手の坂本冬美、アーティストのAI(アイ)、音楽家/映像作家の高木正勝や初音ミクなど、その他にも多数の国内外のアーティストとの共演実績がある。現在はソリストとしてこれまでの経験を活かし独自の音楽性、演奏表現を追求している。
日時:2023年6月24日(土)19:00〜/25日(日)14:00〜
会場:ロームシアター京都 ノースホール
メインアーティスト・構成:日野浩志郎
コラボレーションアーティスト:古舘健、藤田正嘉、谷口かんな、前田剛史
音響:西川文章料金:一般2,500円、ユース(25歳以下)1,500円、18歳以下1,000円
※全席自由/未就学児入場不可
※チケット入手方法は公式サイトにて問合:ロームシアター京都チケットカウンター 075-746-3201
※ 6月25日の公演は託児サービスあり。要申込
京都市左京区岡崎最勝寺町13