アーティスト・東恩納裕一の個展が、肥後橋のThe Third Gallery Ayaにて開催される。同画廊での開催は、2019年の二人展「重なりと作用」以来となり、個展の開催は初となる。
東恩納は、今回の個展にあたり、日常なありふれたもの、特に、戦後日本のどこの家庭にもあった「ファンシー」なインテリアをモチーフに絵画やオブジェを制作する。また、東恩納の代表作である日本独特の丸型の蛍光灯が多数絡むシャンデリアも登場する。さまざまなメディウムが盛り込まれたインスタレーションは2Fと4Fの2フロアに展開される予定だ。
アーティストステートメント
カタカナ表記では“室内”しか意味しないインテリア(interior)の第一義的な意味が“内面/内部”だとすれば、かつて日本の多くの家庭の室内がファンシーな品々で満たされていたのは、そこが戦後世代の、そして日本の内面で もあったからではないでしょうか。
西欧文化への憧れが生み出したファンシーな品々は、わたしにとって馴染みがありながら好きにはなれない疎遠な ものであり、それは、フロイトの「不気味なもの/unheimlich」*1の定義にぴったりと符合するものでした。
ただ、“不気味さ”の現れが何かの症候だとして、それを感じる個別の感覚が他者と共有されるのか、普遍性を持つ のか・・・という疑問がつきまといます。
21世紀初め、初めて多数の蛍光管による“シャンデリア”を制作した際、当初素朴な風刺・パロディー*2を企図した にもかかわらず、煌々と白い光を放つ蛍光灯シャンデリアにアイロニーとは無縁の過剰さ、痛快なカタルシスを感じ たこと、そこに1つのヒントがあるかもしれません。つまり、日本的なものから日本的でないものへ、個別的なもの から普遍的なものへ、そして「不気味なもの/unheimlich」から「不気味でないもの/un-unheimlich」*3へ、という 転回・・・。*1 『不気味なもの/ Das Unheimliche』ジグムント・フロイト 1919年
*2 日本が偏愛する蛍光灯、特に日本の家庭で独自に普及した丸型蛍光灯を多数使用し、西欧文化のアイコンともいえるシャンデリアに擬態する。
*3 「不気味でないもの/un-unheimlich」は、unheimlichに否定の接頭辞;un- を加えて二重否定する、千葉雅也氏による造語。『意味のない無意味』河出書房新社 千葉雅也 2018年
会期:2023年11月25日(土)~12月23日(土)
時間:12:00~19:00(土曜は~17:00)
※火曜はAppointment only
※前日の12:00までにメールにて予約休廊:日曜、月曜
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トークイベント 清水 穣(美術評論家・同志社大学教授)+東恩納 裕一
日時:12月9日(土)18:00~19:30
料金:1,000円
定員:The Third Gallery Aya(10名)+YouTube配信
申込:メールまたは電話(06-6445-3557)
※申込後に詳細を案内
※ギャラリーを会場配信あり
大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F・4F