大阪のアートハブ・TRA-TRAVELは、「リサーチをひらく」をテーマにしたトークイベント「TRA-TRA-TALK(TTT)」を継続的に開催している。クリエイターや研究者などの「リサーチャー(聞き手)」が、プロジェクトやリサーチを進めるにあたって、専門家や事情通など「レスポンダー(応対者)」に話を聞きに行くことを、あえてパブリックイベントとしてひらくことで、観客も交えた意見交換を行う「相互の学びの場」となることを目指している。
TTT第4弾は、大阪中之島美術館学芸員の中村史子をリサーチャーとして、またアート・ジャーナリストである金井美樹をレスポンダーとして招き、「ヨーロッパから東南アジアへ アート・ジャーナリストの視点」を中心に対話/リサーチをひらく。
アート・ジャーナリスト金井美樹さんと大阪中之島美術館学芸員中村史子さんが、マレーシアの地方都市でのアート/文化シーンについて語り合う本イベント。金井さんは、ロンドンで学生時代を過ごした後、約20年間ベルリンを拠点に活動し、『美術手帖』などでヨーロッパのアートの最前線を、日本に紹介してきました。現在はマレーシアに移住し、多民族国家でのアートのあり方や、地域の文化や活動に触れる日々を送っています。中村さんは、2007年から2023年まで愛知県美術館の主任学芸員として、国内外の展覧会を企画し、雑誌や書籍などにも寄稿してきました。本イベントでは、中村さんがリサーチャー(聞き手)、金井さんがレスポンダー(応対者)となり、『ヨーロッパから東南アジアへ アート・ジャーナリストの視点』をテーマにトークを展開します。
イベントでは、金井さんの約20年間におよぶベルリンでの活動、昨年東南アジアへ拠点を移したきっかけ、そしてマレーシアでの暮らしや発見など、彼女のアートに対する思いや経験を伺います。また、現在ドイツの政治が介入するアートの状況、コロナ禍やドクメンタ15の印象など、ヨーロッパと東南アジアのアートシーンに身を置いて肌で感じた違いや共通点についても語り合います。金井さんは昨年8月からマレーシアに住んでおり、まだアートシーンの全貌を把握していないと言いますが、首都クアラルンプールから車で2時間ほどの地方都市に暮らすアーティストの活動やアートスペースの様子、多民族国家での文化的な営みや地域活動、アートの役割などにも触れます。
中村さんと金井さんはともにアートに関する執筆活動を行っており、異なる文化や背景をもつ様々なアートシーンに接して来られました。この対話/リサーチを通して、ヨーロッパのアートシーンの現状や課題、東南アジアのアートシーンから私たちが学ぶべきこと、そして両者が見すえる芸術の未来を共有するキッカケとなります。アートに興味のある方はもちろん、異文化や国際交流に関心のある方にもおすすめのイベントです。ぜひご参加ください。
中村史子 Fumiko NAKAMURA
大阪中之島美術館学芸員。2007年〜2023年まで愛知県美術館主任学芸員として「放課後のはらっぱ」(2009)、「魔術/美術」(2012 年)、「これからの写真」(2014)、「生誕120年 安井仲治」(2023)等を企画、担当。また、あいちトリエンナーレにアシスタントキュレーターとして第1回から関わり、「国際芸術祭あいち2022」(202)のキュレーターを務める。主な外部企画のキュレーションに「Play in the Flow」(チェンマイ、タイ、2017)があるほか、雑誌や書籍等への寄稿多数。専門は視覚文化、写真、コンテンポラリーアート。金井美樹 Miki KANAI
アート・ジャーナリスト、ライター、リサーチャー。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ美術史修士課程修了。およそ20年にわたってベルリンを拠点に欧州20カ国からアートの現場をレポート。『美術手帖』や『芸術新潮』などの日本のアート雑誌を中心に、書籍やウェブサイト、展覧会のカタログでの執筆や編集をはじめ、展覧会のコーディネートなどを通して、ヨーロッパのアーティストの活動やアートシーンを日本へ紹介してきた。2023年よりマレーシアを拠点に活動。国際美術評論家連盟ドイツ支部会員。
TRA-TRA-TALK vol.4
「ヨーロッパから東南アジアへ アート・ジャーナリストの視点」日時:2024年1月24日(水)19:00〜20:30(受付開始:18:45)
会場:VisLab OSAKA(グランフロント大阪北館 タワーC 9F)
出演:リサーチャー/中村史子、レスポンダー/金井美樹
参加費:自由(ドネーション制)
定員:30名 ※予約不要、先着順
主催:TRA-TRAVEL
助成:芳泉文化財団
協力:VisLab OSAKA/大阪電気通信大学
VisLab OSAKA
大阪市北区大深町3-1
グランフロント大阪北館 タワーC 9F