天満橋の工芸品店・アートギャラリー「gallery, あるゐは（以下、あるゐは）」にて、テキスタイルデザイナーでアーティストのはしもとなおこによる個展「noise」が、2024年3月9日（土）まで開催されている。

店主の大室友子は、あるゐはをオープンして間もない2020年初旬、偶然店を訪れたはしもとと出会った。そして、彼女のテキスタイルの個展へ訪れた際に、プロダクトと並んで飾られていた彼女の絵に心を奪われ、「いつか自身のギャラリーで絵画展を開きたい」という想いを抱いたという。その後、絵画をメインとした制作にシフトし活動をはじめたはしもと。大室は彼女が個展を開催するたびに足繁く通い、新たな開花を続ける作風を目の当たりにしてきた。それから時を経て、念願が実現した機会が本展となる。

はしもとの絵は、シンプルな構成と澄んだ線で描かれ、彼女が作品とありのままに向き合う姿勢が反映されている。「あのとき描けて今描けず、今描けてあのとき描けない線がある」とはしもとが語るように、そのときの生活環境や季節、温度の体感、感情を内包した線は、多様な表情を見せ鑑賞者の心に共鳴をもたらす。

本展では「noise」をテーマとし、自己のブレや看過を探求することに焦点を当て制作に取り組んだ。下描きをせず筆を走らせることで、作品には緊張感とともに余白の心地良さが生まれる。また作品にあわせて大室が構成した展示空間は、はしもとの作品の新たな魅力を引き出す。

あるゐはだからこそ体験できる、現在のはしもとの想いを載せた原画にぜひ触れてほしい。