大阪市此花区・梅香エリアにある、アーティスト・mizutamaが運営するスペース「FIGYA」は、2023年に10周年を迎えた。2023年度は「FIGYA_10th anniversary」として、これまでに出会ったアーティストたちの展覧会やプロジェクト、公演を行ってきたが、本企画最後の展覧会として、下道基行「船はあの丘に登った」を開催する。
下道はかつて梅花エリアに住んでいた時期があり、当時同エリアにあったギャラリー「梅花堂」で展覧会を開催したこともある。本展は下道にとって、約10年ぶりに梅香で行う作品発表となる。
なお同時期に関連企画として、中崎透、前谷康太郎、米子匡司、辺口芳典ら、同地に所縁のあるアーティストたちの展示やイベントも行われる。エリア内を回遊しながら楽しみたい。
10年前のまま時間を止めたブログを過去へ読み進めていた。
浜辺を歩きながら漂着物を拾い集めるように。
ただの文字の羅列が生き生きと懐かしく語りかけてくる。
その声は僕の中から聞こえてくるものだ。久しぶりに梅香の街を歩いた。梅香に流れる日常は変わらない。
僕の中で途切れた回路が繋がり、再び押し寄せてくるような感覚。
川は埋め立てられ公園になっていたが、それとは対照的に
ここに住む表現者たちの精神は今も流れ続けているように感じた。今回僕が展示したいのは、10年前に展示した「torii」の次のシリーズ。
それは“鳥が居る”巨大な漂着物を撮影する動画による写真シリーズ。
数年前に大きな国際展に出したまま、時間を止めてしまった作品だ。
自分の中の時計の針を再び進めるためにここで動かしてみようと思う。下道基行
–
下道基行|Motoyuki Shitamichi
1978年岡山生まれ。2001年武蔵野美術大学造形学部 油絵学科卒業。日本国内の戦争の遺構の現状を調査する 「戦争のかたち」、祖父の遺した絵画と記憶を追う「日曜画家」、日本の国境の外側に残された日本の植民/侵略の遺構をさがす「torii」など、展覧会や書籍で発表を続けている。フィールドワークをベースに、生活のなかに埋没して忘却されかけている物語や日常的な物事を写真やイベント、インタビューなどの手法によって編集することで視覚化する。
FIGYA_10th annversary
下道基行「船はあの丘に登った」会期:2024年3月9日(土)〜11日(月)、15日(金)〜18日(月)、22日(金)〜24日(日)
会場:FIGYA
時間:13:00〜18:00
料金:入場無料
クロージングイベント
「特別対談」下道基行+中崎透
日時:3月24日(日)18:00〜19:30
会場:JUU関連企画
会期中、此花区内にて所縁のあるアーティストたちを展示。
詳細・地図 https://x.gd/snyxq
大阪市此花区梅香3-11-18