このたびNii Fine Artsでは2024年6月8日(土)から23日(日)まで「生誕120年 瀧口修造展」を開催いたします。
今展では、職業的に書くことに深い矛盾を感じはじめた1960年頃から盛んに描きだし、独自の表現としてあらためて見直されている水彩、デカルコマニーの作品を十数点展示いたします。
また、関連イベントとして「瀧口修造の詩を読む」と題して、詩人・批評家の京谷裕彰氏を話し手に迎え
『瀧口修造の詩的実験1927-1937』『コレクション瀧口修造』からセレクトした詩を、お話を交えながら朗読します。瀧口修造略歴
1903年富山県生まれ。詩人・美術評論家・造形作家。戦前・戦後を通じた、前衛芸術の精神的・理論的支柱といえる存在。
西脇順三郎を通じて知ったシュルレアリスムの紹介・普及に、生涯にわたり注力した。慶應義塾大学在学中にA.ブルトン『超現実主義と絵画』(厚生閣書店、1930年)を全訳し、前衛詩の極北とされる一連の実験的な詩も執筆した。
1931年に卒業後、36年頃まで映画製作所PCLに勤務する傍らブルトンらと文通し、シュルレアリスム文献の翻訳や評論を発表、また多くの前衛芸術家グループも指導した。37年には「海外超現実主義作品展」(銀座の日本サロンほか)を山中散生とともに開催した。
当時のシュルレアリスムは国際共産党と対立していたが、41年4月、治安維持法違反の嫌疑で福沢一郎とともに特高に検挙され、起訴猶予処分による11月の釈放後も保護観察下に置かれ、活動は抑圧された。戦後は「時代の証言者」とも評される多彩な活動を展開した。
読売アンデパンダン展(49~63年)などの眼識のある展評により、若手作家から絶大な信頼を寄せられた。
51~57年、神田駿河台下の画材店竹見屋の依頼でタケミヤ画廊を運営し、208回の展覧会を通じ河原温、草間彌生らを輩出した。
51年に北代省三、山口勝弘、武満徹、湯浅譲二らが結成した「実験工房」の活動も、命名者として後見した。
58年、ヴェネチア・ビエンナーレの代表・審査員として訪欧し、イタリアの彫刻部門代表L.フォンタナに絵画・彫刻の両部門で投票した後、ブルトン、M.デュシャン、S.ダリらと面談して帰国した。
60年以降、執筆の重心を美術批評から展覧会序文へと移し、また自らも水彩やデカルコマニーなどの制作を開始し、個展を6回ほど開催した。
国立近代美術館運営委員(52~64年度)などの公職を退く一方、赤瀬川原平の「千円札裁判」(65~70年)では特別弁護人を買って出た。
63年、架空の「オブジェの店」の開店を構想し、店名の命名をデュシャンに依頼すると、有名な女性変名「ローズ・セラヴィ」を贈られ、返礼に『マルセル・デュシャン語録』(後出)を刊行した。以降もデュシャン研究に従事し、心筋梗塞で没した。
会期:2024年6月8日(土)~23日(日)
会場:Nii Fine Arts
時間:12:00~19:00(日曜 〜17:00)
休廊:月・火曜
関連イベント「瀧口修造の詩を読む」
日時:6月15日(土)18:00~19:00
出演:京谷裕彰(詩人・批評家)
定員:12名 (要予約 https://www.niifinearts.com/post/takiguchi20240615moushikomi.html)
料金:参加無料
大阪市北区中津1-15-37
キタの北ナガヤ101号