
布、陶やガラス、収集した骨董、写真などを複合的に用いながら、場所や人の記憶、時間をテーマにしたインスタレーションを発表し続けている河野愛の近作を紹介する展覧会が、和歌山県田辺市の2つの会場で開催されている。
河野は1980年生まれ。2007年に京都市立芸術大学大学院美術研究科染織専攻を修了。
近年は、「Soft Territory かかわりのあわい」(滋賀県立美術館、2021年)、紀南アートウィーク(同実行委員会、和歌山県、2021年)、なつやすみの美術館14 河野愛「こともの、と」(和歌山県立近代美術館、2024年)などで作品を発表している。
今回は、灯台を記憶や時間の標識として河野の作品を象徴的に表す言葉とし、展覧会のタイトルを「灯台へ、」としています。田辺市立美術館と熊野古道なかへち美術館、二つの美術館を会場にして開催します。
田辺市立美術館では、河野の祖父母が営んでいた白浜のホテルのネオンサインの一部を用いた〈I〉シリーズのインスタレーションや映像作品を展示します。〈I〉シリーズは、ある展示では海辺の桟橋の突端にネオンサイン〈I〉を置き、また別の展示では高く積み上げるなど、形を変えて展開してきました。
熊野古道なかへち美術館では、異物や異者を示す古語から名づけられた〈こともの〉シリーズを展示します。自身の体内から生まれ出た存在でありながら、異者のように感じたという幼子の肌のくぼみに真珠を挟み込んだ河野の私的な写真を用いたインスタレーションや、母としての視点を他者と共有したプロジェクトを展示します。
身近な物や者への親密でありながらも距離をもったまなざしは、河野の制作の一つの特徴と言えるでしょう。「灯台へ、」と題した本展覧会で、河野の個人的な記憶や時間だけではない、鑑賞者を含めた他者や土地の記憶とも複層的に繋がる作品群を、体感していただければと思います。
(Webサイトより)
会期:2025年4月12日(土)~6月8日(日)
会場 :田辺市立美術館展示室1~2、熊野古道なかへち美術館
時間:10:00〜17:00 (入館は16:30まで)
休館:月曜(ただし5月5日は開館)、4月30日(水)、5月7日(水)
観覧料 :田辺市立美術館 600円、熊野古道なかへち美術館 400円
※学生及び18歳未満は無料アーティストトーク
日程:5月24日(土)※「国際博物館の日」記念
会場:田辺市立美術館 11:00〜/熊野古道なかへち美術館 14:00〜
※いずれも予約不要、観覧料のみ必要主催:田辺市立美術館
和歌山県田辺市たきない町24-43
和歌山県田辺市中辺路町近露891