国立台湾美術館での個展(2013年)や台北ビエンナーレへの選出(2016年)など、国際的な注目を獲得しつつある台湾のアーティスト・張騰遠(チャン・テンユァン)の個展「NEW NORMAL」が、1月16日(土)よりGallery Nomartにて開催している。
2020年5月、予定していた個展が新型コロナウイルスの影響で延期となり、そのプレビュー企画としてオンライン個展「Human Being:COVID-19」を開催した張。本展では、世界の終焉から百万年後の地球に降り立ったエイリアン「パロットマン」が、新型ウイルスによって滅亡した人類の営みを、調査・模倣を通して解明しようと試みるストーリーを創作した。
今回の展示は、そのパロットマンのストーリーを引き継ぎ、アフターコロナの社会における生活様式と、それらに伴う価値観の変容を示す“NEW NORMAL”をテーマに展開する。パラレルワールドの地球を舞台に、パンデミック後の時間経過を5つの色で表現。作家が仮想するアフターコロナの世界が、約50枚のドローイングポスターや変形キャンバスに描かれる。
パロットマンは人間の模倣はできても、感情や意味を理解できないオウムたち。遠い未来から人間の営みを研究する彼らの行動をまなざすとき、観る者は俯瞰的に、自らが生きる現代社会を再考することになる。なお、会場では「Human being:COVID-19」の作品も同時に展示される。
作家コメント
Parallel universe – パンデミック後の世界
終末の地球にいるパロットマン(Parrot Man)の物語は、まるで休みのない連載コミックのように、時空の変化によって筋が変わっていく。一方、それは私たちのいる世界と並行したもう一つの世界のような存在である。そのパラレルワールドでは、パロットマンは考古学を通して人類の歴史を洞察すると同時に、彼らの選択を模倣することで、人類が滅亡を迎えた原因を明らかにしていく。
パンデミック後の世界は開放的な仮想を立てる機になると私は思う。まず私は人類の容貌から考え始めた。急速かつ不健全な開発によって作られたワクチンを注射された人類には、奇妙なことが起きてしまうだろう。
今回の個展作品で用いる5つの色は、異なる時間軸を象徴している。それらの中で、パンデミック後の世界の風景、新たな人間の様子、ワクチンに影響された人間の状態、そしてそれ以後の人類と世界の新しい関係性などに対する私の想像がある。以上は全て優先順位のない開放的な仮想である。
パンデミック後の世界をパラレルワールドとして掲げる理由は、このアプローチがリアルとバーチャルが裏表になる状態を表現できると考えるからである。パラレルワールドは抽象的に存在する風景だが、パンデミック後の世界は私たちがすぐに直面しなければならない未来であるーどちらがバーチャルなのか、リアルなのか?私にはもはやわからない。
このような異なる時間軸を色で提示する手法を通して、観客が自らイメージの点と点を結び、新たな物語を描く主体性に期待したい。今回の展示は2020年5月にWeb上で行った記録展示「Human Being: COVID-19」と呼応すると同時に、観客は自ら「パンデミック後の世界」を想像できる場として考えれば良いのではないかと思う。
張騰遠 Chang Teng-Yuan
(公式Webサイトより引用)
日時:2021年1月16日(土)〜2月13日(土)13:00〜19:00
会場:Gallery Nomart
休廊:日曜・祝日
関連イベント
Closing Live “NEW NORMAL”
日時:2021年2月13日(土)19:00開場、19:30開演
料金:2,000円(予約制、定員10名)
出演:.es (ドットエス:橋本孝之&sara)
大阪市城東区永田3-5-22