大阪天満宮前の音食堂酒場「音凪」は、2021年6月1日（火）に10周年を迎え、その記念イベントを開催中だ。ポコペン（ex. さかな）やマダムギター長見順、ふちがみとふなと、倉地久美夫など、音凪に長年関わりのあるアーティストが並ぶ。

2011年6月、現在のお店からもほど近い場所で「音凪」ははじまった。お客さんが7〜8人も入れば満席となる小さなスペース。最初の4年は“喫茶音凪酒場”としてお店を切り盛りしていたと言う。店主・古市英雄（ふるいち・ひでお）は、当時を思い出しながら「音楽を聴きながらご飯を食べられる場所があったらいいなと、軽い気持ちでお店をはじめたんです。20年近く勤めたアパレルの営業を辞めて、再就職したんですけど自分には合わなくて。そんなタイミングでした」と語る。

もともと、学生時代からバンドを組み、ベアーズやファンダンゴなどのライブハウスにも出演していたという店主。1993年頃にバンドをやめ、就職してからは音楽の現場から離れていた。20代後半、たまたま飲みに行った天神橋筋商店街のバー・フラットフラミンゴで、カオリーニョ藤原さんやジャズの人たちと出会う。その後、羅針盤をやめた山本精一の歌を聴きにブリッジへ。30代、少しずつだが仕事の合間を縫ってライブを見に行き、イベントを企画するなど音楽の現場へとまた近づいていった。

現在の場所にお店を移転してからは、ランチとディナーそれぞれしっかりとご飯を出す、食堂&酒場スタイルへ。「ミュージシャンとコラボレーションできるとしたら、ご飯しかない。だから、なるべくちゃんとしたものを提供したかった。当時は食に関して見よう見まねの素人だったけれど、10年経ってようやく形になってきたかなと。企画のほうも10年で好きなミュージシャンを大体呼べた気がします。先日、吉田省念のライブで『10年を振り返ってどうですか？』と振られて、思わず『悔いなし！』って言ってもうた（笑）」

時短要請が続き、お酒も出せない現在の状況。そのなかでも音凪は、できる限りお店を開けている。「ライブハウスやクラブなど、音楽のある場がクラスター感染の元凶みたいになっているでしょう。最近では、行政が個人のお店や飲食店とか、力のないところを責めてコロナ対策を装っている。昼も夜も感染率は変わらないはずで、お酒を出す出さないについてもその基準は不明瞭。だからお店を開け続けることで、こちらの態度を示しています」

10周年記念イベントは、基本的に音凪を会場として週末開催。8月7日（土）・8日（日）には、名古屋のブラジルコーヒーと2日間の共同企画も（会場は雲州堂とブラジルコーヒー）。