「芸術文化を、大阪から考える」といった際に、まずは大阪、ひいては都市について改めて考えたいと思いました。これはコロナ禍で、わたしたちの暮らしを成り立たせている社会の仕組みや経済について再考するときが来ていると実感したからです。プラネタリー・アーバニゼーション(地球の都市化)という言葉もありますが、わたしたちはロジスティクスというスムーズな流れによって、常に有形無形の商品を消費し続けることで、あるいはリモートを加速させるコミュニケーション技術によって、物理的な出会いがもたらす関係性や、使ったり食べたりしているものの連関への想像力が奪われているようにも思えます。その異様とも言えるスムーズさのなかに、どのように亀裂やひっかかりを見つけ出していくのか。そこから、文化や芸術が醸造されるのだと思います。  今回の特集では、猪瀬浩平さんとの対談では、私たちの生き方や、コロナ禍において顕在化した感染させる/させないの二元論に回収される違和感と、リモートによるコミュニケーションによってこぼれ落ちる「巷」的なひっかかりについての大切な視座と経験を、有家俊之さんにはロジスティクスと反対側にあるものの調達とその楽しみとおいしさを教えていただきました。また、北川眞也さんとの対談で都市のパースペクティブとそのなかで行われている実践をお聞きしながら、いかに私たちは行動できるのかというヒントを与えていただき、合わせて、櫻田和也さんとともに大阪という都市を成り立たせている住之江の物流拠点、港湾地帯をフィールドワークすることで改めて私たちの暮らす都市を実感することができました。一見、つながらないようなこれらの経験や知見は、どこでもすぐにつながれる現在において、私たちに物事を編み直す想像力を与えてくれます。今回、対談やフィールドワークをともにした4者は、みなアーティストだと思います。家成俊勝 Toshikatsu Ienari ー 建築家。1974年兵庫県生まれ。2004年、赤代武志とdot architectsを共同設立。京都芸術大学教授。アート、オルタナティブメディア、建築、地域研究、NPOなどが集まるコーポ北加賀屋を拠点に活動。
News
2021.09.06
#graf#UMA/design farm#滋賀県立美術館#ART#DESIGN#EXHIBITION#大阪府外

滋賀県立美術館がリニューアルオープン。
デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。

文: 田原奈央子[プレス・企画・PM]
滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。
photo:YOSUKE OHTAKE(以下同様)

2021年6月27日(日)、滋賀県立美術館がリニューアルオープンした。エントランスロビー周辺のデザイン統括・設計・広報を務めたのは、大阪のクリエイティブユニットgraf。グラフィック、サイン計画、VI(ヴィジュアルアイデンティティ)はUMA/design farmが担当している。

1984年に開館した滋賀県立近代美術館。今回のリニューアルオープンにあたり、ディレクター(館長)には元東京国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗が就任し、目指すべき美術館の姿を「公園のなかのリビングルーム」「リビングルームのような美術館」として、「近代」にとらわれない、時代とともに変化していくありようを新たに掲げた。今後は「かわる かかわる ミュージアム 」をコンセプトに、美術館と来館者間のコミュニケーションの変化を生み出すことを目標とする。

 

滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。
中心をずらして積み重ね、躍動感を表したサイドテーブルは、信楽を拠点にする「NOTA&design」が特注製作
滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。

改修では、エントランスを入ってすぐのロビーにカフェやショップを、2階にキッズスペース、そして授乳室を新設した。目玉となっているのが、エントランスロビーとその周辺の空間の再構築だ。近代建築の趣が残る建物のなかに、有機的なアールのソファや柔らかなフォルムの什器を配置することで、空間に新たな風を吹き込んでいる。これまでの歴史を尊重しながら、来場者が場を使いこなし空間と関わるための、未来のあり方を模索しているようだ。什器はナラ材を中心として、カウンターには信楽焼の赤土を素地で焼き上げたレンガタイルを使用。自然と生まれたその色の組み合わせからは温かみが感じられ、誰もが気軽にくつろぎ楽しめる空間となっている。

滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。
滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。
雲のようなゆらぎのある軽やかな照明。照明ブランド「NEW LIGHT POTTERY」が制作

もうひとつ注目したいのが、キッズスペースだ。子どもと大人のスペースを区切らず、どんな年齢の子どもでも使いやすいように設定された低めの什器は、空間をのびのびと見せてくれる。また、琵琶湖をイメージしたプレイマットには本棚が設置され、遊びながらアートに触れられるような空間となっている。「美術館」というと、どうしても小さな子どもを連れていくことを敬遠してしまうが、一緒に本を読んだり飲食したりできる空間には、ファミリー層への心遣いも感じられる(現在は新型コロナウイルス感染症対策のため、一時閉鎖中)。

滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。

今回のリニューアルプロジェクトでは、UMA/design farmによりVIも刷新。美術館の大きな屋根のような三角を組み合わせて「M」「S」のかたちをつくり、水の上で飛び跳ねる魚や飛び立つ鳥をイメージしたというヴィジュアルは、美術館が地域に入り込み、さまざまなな人と手を取って、広くコミュニケーションを図っていく姿を表している。

滋賀県立美術館では、9月18日(土)から11月14日(日)まで、リニューアル記念展「ボイスオーバー 回って遊ぶ声」を開催する。およそ1,800件のコレクションのなかから選りすぐりの作品100点以上が紹介される。日本画、郷土美術、現代美術、アール・ブリュットのジャンルの別なく美術コレクションを堪能できる絶好の機会だ。時代とともに変化し、柔軟に人々と関わり続けることを目指す美術館。これからのプログラムに注目したい。

滋賀県立美術館がリニューアルオープン。 デザインチームにgraf、UMA/design farmが参加。
イケムラレイコ《思考》1985 年 滋賀県立美術館蔵 ©Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst 2021

また、滋賀県立美術館にて「美術を鑑賞する」体験を楽しめる様子が映像となって公開されている。ダンサーの親子が新しくなった空間や什器をモチーフに「かわる かかわる」をコンセプトを身体で表現したものだ。ぜひ映像を見ながら、オンラインでも「かかわる」ことを楽しんでほしい。

滋賀県立美術館

開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)、年末年始(2021年12月23日[木]~2022年1月7日[金])、施設点検や展示入替のための臨時休館(2021年度は8月23日[月]~9月17日[金]、11月15日[月]~12月6日[月])

問合:077-543-2111(受付時間 平日8:30〜17:15)

 

開催予定

企画展「ボイスオーバー 回って遊ぶ声

会期:2021年9月18日(土)〜11月14日(日)

​​​​会場:滋賀県立美術館(展示室1-3、ギャラリー)

料金:一般1,200円(1,000円)、高・大生800円(600円)、小・中生600円(450円)

※( )内は20名以上の団体料金

※身体障害者手帳等をお持ちの方は無料

ゲストアーティスト:田村友一郎、中尾美園、ドットアーキテクツ

滋賀県立美術館

滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1

 

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