
2024年1月1日(月)に発生した能登半島地震により多大な被害が報じられたなか、大阪に本社を置くTAISEI株式会社のブランド「大成紙器製作所」は、UMA/design farmの原田祐馬と手を組み、被災者を支援するための募金箱「DONATION-BOX」の製造と提供を開始した。
このプロジェクトのはじまりは、monkの今井義浩とタネトの奥津爾が世話人を務めるマーケット「THA BLUE HARVEST」のイベントクルーである、石川県七尾市中島町のイタリアンオーベルジュ「ヴィラ・デラ・パーチェ」のシェフ・平田明珠が被災したことにある。同じくクルーである原田は、サポートを行うなかで、クルーの多くが店舗を運営していることに気づき、皆が身近に支援へ参画できるきっかけとして「募金箱をつくれないか」と、これまで紙器具を協働で手がけてきた大成紙器製作所に相談を持ちかけた。1919年の創業以来、紙を通じた文化の育成と、製造者と利用者との橋渡しを目指す大成紙器製作所(ブランド名は創業時の企業名でもある)も、能登・北陸地域のものづくりに携わる人々と深い交流を持つ。そこで、地域のビジネスやものづくりの復興を願い、支援をつなげるべく、自社が中心的に手がける「紙管」の技術を生かし、原田とともにDONATION-BOXを製作。最初は少数をクルーに配布し、その後は多くの人が利用できるように量産展開している。
長期的な被災者支援のために、どんな店舗でも置きやすく参加しやすい穏やかなデザインが必要だと考えられたDONATION-BOXには、3種類のラベルが用意されており、イラストレーターのdanny、写真家の栗田萌瑛、金沢美術工芸大学の坂口歩が参加している。
dannyのイラストは、震災直後、「何かできることはないか」と悩み、UMA/design farmの津田祐果と連絡を取り合うなかで生まれたものだ。言葉を重ねながら、dannyは輝く海と空を望む、緑豊かな能登半島の風景を描きたいと考えた。その想いに呼応した津田は、絵を生かしたシールのデザイン制作を提案。ふたりはその販売やドネーションを検討していく。そこに、ふたりの取り組みを知った原田が協働をもちかけ、DONATION-BOXへのイラスト起用を相談したという。2種の写真も、ヴィラ・デラ・パーチェの撮影を手がけていた栗田や、被災した坂口に原田から依頼した。それぞれのラベルに写る能登の姿からは、復興への願いが伝わってくる。

この募金箱は、大成紙器製作所が運営するオンラインストア「TAISEI SHIKI STORE」から、送料のみで入手可能だ。さらに、昨今頻発する災害を見据え、地域を問わず支援を届けられるよう、無地のバージョンも用意。個々にラベルを作成したり、直接箱に記入したりして使うことができる。
小売店や企業、イベント主催者をはじめ、想いをもった誰もが、それぞれ応援したい人のために。本プロジェクトが一歩となり、支援が広がっていくことを願う。

能登半島地震DONATION-BOX
サイズ:φ110×H220mm
価格:¥0
企画・デザイン:原田祐馬(UMA/design farm)
協力:danny、栗田萌瑛、坂口歩、津田祐果(UMA/design farm)