大阪・谷町六丁目でアパレルブランド「pre-(ぷり)」の販売と服のお直しを営むkikenによる出版レーベル・東南西北kiken。同レーベルが展開する書籍シリーズ「binder kiken」の第3弾として、イラストレーター・大津萌乃の作品集が2024年4月25日(木)に刊行された。
日常風景や架空の情景、人物などを、オリエンタルな雰囲気と現代的な意匠を織り混ぜ、繊細に描く大津。書籍の装画や広告絵を手がけ、個展やグループ展などでも自身の作品を発表している。2019年11月にFOLK old book storeで開催された、大阪初個展「秋果」を見た東南西北kikenが大津の豊かな表現に惹かれ、書籍制作を持ちかけたことで計画があたためられていった。
「binder kiken」の書籍制作は、作家のその時々の関心事からテーマを聞くことから、スタートする。それは、作家が自分自身に表現を問う根気のいる時間ともなるかもしれないが、その先に表れるのは“つくる人”としての現在系だろう。本書においては、大津自身が日常をまなざしながらとらえた光景やモチーフ、思い描いた世界観から「Still life」(静物)、「Figure」(人物)、「Landscape」(風景)という章立てが構成された。複数のコマ割により、画面は生きた時間を与えられ、時に心寂しく、ほほえましい物語を展開させる。
仕様は四六判上製のハードカバー、箔押しの表紙、手作業による丸背製本をシリーズで統一し、書籍としての佇まいにもこだわる。FOLK old book storeでは、4、5月にかけて開催された本書の出版記念展「MANGA」を機に先行販売となっていたが、関西・関東を中心とした書店にも販売展開中だ。実際に手に取り、本の質感を味わいながら、大津の絵の世界へ入り込んでほしい。
binder kiken 3
Moeno Ootsu価格:3,000円(税別)
発行者:東南西北kiken
発行日:2024年4月25日
仕様:四六判上製 120頁
印刷・製本:江戸堀印刷所取扱書店:FOLK old book store、シカク、ホホホ座、誠光社、恵文社一乗寺店、
青山ブックセンター、ポポタム、NERD GALLERY(2024年6月12日[水]時点)