
大阪を拠点に、彫刻、インスタレーション、映像などを制作しているアーティスト・冬木遼太郎が、移動する彫刻《No. 3》を大阪で公開するためのクラウドファンディングを開始した。2026年11月30日までオンラインで寄付を募っている。
1905年、ポーツマス条約によって樺太の北緯50度線が日本とロシアの国境となり、翌年、その境界を示す4基の国境標石が置かれた。4基のうち第三号はその後失われたが、2010年に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターが、残された写真や拓本などの資料をもとに、その復元品を制作した。

冬木は、2025年に札幌の「さっぽろ天神山アートスタジオ 国際公募AIRプログラム」に招聘された際、現地でのリサーチの中で国境標石のことを知り、標石の復元品をさらに複製して、「レプリカのレプリカ」を制作。内部の機構に自ら動くための仕組みを加え、作品《No. 3》が誕生した。
《No. 3》は、水面に浮かぶ葉のようにゆっくりと動き、時には回転し、ダンスのような動きもする。国境標石という、動いてはいけないはずの石が自ら動き回る運動により、観る者は意識を揺さぶられる。
冬木のプロジェクトは、文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業に採択され、《No. 3》は2026年2〜3月に同事業の成果発表展示で初めて公開された。その際に、作品の駆動には十分な広さが必要で、作品が移動する方向や速度を確認できる、安全な動線が必要であることが分かり、次の公開は大阪・北加賀屋のクリエイティブセンター大阪(旧総合事務所棟4階)の約1,200㎡のスペースで実施することとなった。
一般公開は、2027年1月12日〜14日を予定している。
展示の実現にあたって、会場の使用、作品の輸送、設営、安全確認、会場での技術調整、展示期間中の運営、映像と写真による記録などの費用が必要となるため、アーツサポート関西によるクラウドファンディング助成のシステムを利用し、支援を募っている。目標金額は50万円。
アーツサポート関西は公益財団法人関西・大阪21世紀協会が行う取り組みであるため、このプロジェクトへの寄付は税の優遇措置が適用される。
冬木遼太郎(ふゆき・りょうたろう)
1984 富山県生まれ。
2008 / 03 京都造形芸術大学 情報デザイン学科先端アートコース卒業
2010 / 03 京都市立芸術大学大学院 美術研究科彫刻専攻修了
2024 / 03 東京藝術大学 大学院美術研究科 GAP専攻 研究生助成/在外研修
2017 吉野石膏美術振興財団在外研修員としてニューヨークに滞在 (公益財団法人吉野美術振興財団)
2019 アーツサポート関西 日本電通メディアアート支援寄金
2023 文化庁新進芸術家海外研修制度(短期 / マニラ)
2024 ポーラ美術振興財団国際交流助成
2024 国際交流基金マニラ日本文化センター 国際交流活動助成
2025 文化庁 創作クリエイター育成支援事業
2025 小笠原敏晶記念財団 渡航助成
「動かないはずの石を、動かすプロジェクト。」クラウドファンディング
https://congrant.com/project/ask/24252Webサイトでは、冬木のこれまでの活動や、本プロジェクトへの想いなどが、作家自身の言葉で詳細に綴られている。



