天王寺駅前、てんしばを抜けた天王寺公園内に大阪市立美術館・美術研究所がある。「市民が優れた美術文化に接する機会を提供し、生活に潤いをもたらすとともに、美術家の活動を助成し、広く大阪の文化振興に資すること」を目的として、1936(昭和11)年5月に美術館が開館、その10年後の1946(昭和21)年7月、美術館地下に美術研究所が付設された。
2022年度、この美術館・美術研究所の大規模改修が予定されている。本レポートでは、建築写真家・大竹央祐の視点で、戦後から現在に至るまで素描・絵画・彫塑の実技研究を行ってきた研究所の空間や、今この場所で活動する人たちに目を向け、記録していく。
人体部全員が気持ちよくデッサンに精進出来るよう下記の事をお守り下さい。
1、くじ引後、全員でイーゼルとイスの用意をします。
1、モデルさんのポーズは多数決で決めます。
1、くじ引順に着席後、譲り合ってイーゼルの微調整を行ない座席を決定します。以後イーゼルを動かさない事。
1、室内の温度調整はモデルさんが中心です。
「石膏デッサンに特化した美術教育の場は、美術館に付設されていることもふまえると、数少ないんじゃないでしょうか」。館をまわりながら、同館総務課長の塚田義(つかだ・ただし)さんが話してくれた。
「今は、誰もが写真や映像を撮り、絵を描き、ものをつくれる時代ですよね。だからこそ、ものづくりの基礎に立ち返り、目の前にあるものをつぶさに観察しながら、絵やかたちにしていくことは重要だと思います。
私たちがこれまで長い年月をかけて培ってきた館や研究所のあり方・役割を、時代の変化も視野に入れながら、引き続き担っていきたいと考えています」。
大阪市天王寺区茶臼山町1-82