本特集では、ドキュメンタリーとフィクションの関係やその境界について向き合いました。それは、「事実」「作為」「理解」というような言葉の定義や、それらに付随する葛藤の輪郭をなぞっていくような作業であり、あらためてドキュメンタリーとフィクションの境界というものがいかに流動的で、相互的関係にあるかを感じています。 人が食べるという行為をインタビューを通して観察・分析してきた独立人類学者の磯野真穂さんとの対談では、他者を理解することについて言葉を交わしました。また、現代フランス哲学、芸術学、映像論をフィールドに文筆業を行う福尾匠さん、同じく、映画や文芸を中心とした評論・文筆活動を行う五所純子さん、そして、劇団「ゆうめい」を主宰し、自身の体験を二次創作的に作品化する脚本&演出家・池田亮さんの寄稿では、立場の異なる三者の視点からドキュメンタリーとフィクションの地平の先になにを見るのかを言葉にしていただきました。 対岸の風景を可視化していくこと、まだ見ぬ世界を知覚すること、その先に結ばれた像が唯一絶対の真実から開放してくれることを信じて。そして、今日もわたしは石をなぞる。 小田香 Kaori Oda ー 1987年大阪生まれ。フィルムメーカー。2016年、タル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factoryを修了。第一長編作『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞受賞。2019年、『セノーテ』がロッテルダム国際映画祭などを巡回。2020年、第1回大島渚賞受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
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2021.12.29
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REPORT|neuthingsのショップ
「YEANAY KYOTO」オープン

文: 田原 奈央子[プレス・企画・PM]
REPORT|neuthingsのショップ「YEANAY KYOTO」オープン

大阪を拠点にアパレルブランド「NO CONTROL AIR」や「FIRMUM」を展開するneuthingsの新店舗「YEANAY KYOTO」が、2021年9月23日(木)に京都市下京区上鱗形町にオープンした。自社のブランドであるNO CONTROL AIRとFIRMUMの服、古物やヴィンテージ時計・セレクトプロダクトが並び、内装やグラフィックは、両ブランドのデザイナーである米永至氏が手がけている。

REPORT|neuthingsのショップ「YEANAY KYOTO」オープン

「YEANAY(イエナイ)」とは英語の古語を組み合わせた造語。YESの古語「YEA」とNOの古語「NAY」を合わせて、「YESからNOまでを扱う店」という意味をもつ。YEANAYは、現在大阪、東京、京都の3店舗を構え、本店・YEANAY OSAKAの前身である靱本町の「Toi」と比べると、セレクトや雰囲気が大きく変化し、お店の個性が表れている。米永氏は語る。

「2003年にオープンしたToiは、その店名のとおり、問いをもったデザインを提示していくことをコンセプトにしたお店でした。NO CONTROL AIRの服と合わせて、コンテンポラリージュエリーやデザインプロダクトの展示をメインにしていたのですが、続けるうちに展示企画に頼ってしまい、お店としての体をなしていないことに気づいたんです。僕が学生だった1990年代頃は、インターネットもまだ普及していなかったので、最新のファッションやアートの情報源はお店でした。実際にものを見て、触って、店員と話すことで、どんどん視野を広げてくれるお店は学びの場であり、僕自身もそこで育ててもらいました。その経験から、僕たちのお店もギャラリーではなく、お店として面白い場所にしたいと思い、Kivn(キヴン)をはじめました」

Kivnは2017年2月に、現在のYEANAY OSAKAと同じ場所にオープンした店だ。同年12月には東京・渋谷にYEANAY TOKYOもオープンし、自社ブランドに加え、セレクトにも力をいれた店舗展開をスタートした。その後2018年11月に、Toiも同じ建物の2階に移転。2020年9月には、KivnとToiをひとつに集約し、YEANAY OSAKAに名前を改めることとなる。

「Kivnをはじめたときは、Toiのコンセプトにある『デザイン』という言葉に囚われず、今まで気になっていた作家やブランドに声をかけてセレクトを行いました。日本のメーカーPUEBCOさんもそのひとつです。彼らのアイテムは、インダストリアルなデザインの日用品から、刷毛のかたちをした虫眼鏡のようなオブジェまで幅広く、存在感があり目を引きます。商品開発の際には、フリーマーケットや骨董市からアイデアを得ているという話を聞き、僕自身も骨董市へ足を運びはじめました。古物の世界はこれまでとはまったく畑が違い、独特のセンスを持つ人たちとの新たな出会いも。彼らのセンスに惹かれてのめり込むうちに、自分の価値観が新陳代謝していることを強く感じ、この面白さをお店の要素として取り入れたいと考えるようになりました」

大阪店でも古物を取り扱っていたが、京都店では品数が増え、より個性的なものが並んでいるように感じる。米永氏の古物を見る視点がどんどん変化していることが店内からも伝わってくるようだ。

REPORT|neuthingsのショップ「YEANAY KYOTO」オープン
REPORT|neuthingsのショップ「YEANAY KYOTO」オープン
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店内を見渡すと、至るところに古物がある。いつの時代のものかわからない土器やチューブの型を使った樹脂の置物、パンダのソフビ人形など。どれも用途はわからないが、なぜか心を惹きつけられるのは、米永氏のセレクトはもちろん、店内でのスタイリングあってのことだろう。

「見せ方によってものの価値は変化するので、空間やものを『見立てる』行為をとても大切にしています。古物を道具と組み合わせてみたり、壁にかけてみたり。僕は古物もコンテンポラリーな目線でとらえています。もちろん、YEANAYは古道具屋ではないので、それらが立ちすぎてもいけない。並んでいるものを通して、僕たちの視点をアートピースのように感じてもらえるような表現ができたらと思っています。最近は、僕らの見立てに反応してくれる方も増えてきて嬉しいです」と米永氏は語る。

REPORT|neuthingsのショップ「YEANAY KYOTO」オープン

話を聞くなかで面白く感じたのが、NO CONTROL AIRのモード感、FIRMUMのカジュアルな印象とはまた違ったYEANAYの価値観である。

「お店にはお店の人格があって、ブランドにも人格があると思っています」と米永氏。

店舗名もそうだが、ブランド名も会社名もそれぞれ違うのは、一つひとつの個性を尊重しているからだという。10名ほどの会社で、2つのブランドをもち卸業や小売、店舗の運営など幅広く展開をするのにはどういう理由があるのだろうか米永氏は語る。

「僕は経営者でもあるので、スタッフやお取引先の生活も大事にしていきたいし、その人たちと続けていける服づくりを心がけています。そのために、柔軟に時代に対応すること、そして頭をやわらかくすることも大切にしています。どうしても30代を超えると価値観が凝り固まってしまうのですが、変化を受け入れられるために、自分たちのやっていることを疑ったり、アイデアが生まれる環境を整えるようにしています。ブランドをやることも店舗を構えることも古物を取り入れることも、実はすべてつながっているんですよ」

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店内に並ぶNO CONTROL AIRの服

ToiからYEANAYへ移り変わるなかで、私もお店に通い10年ほどになる。社会人になったばかりの頃、憧れの先輩たちがみんなNO CONTROL AIRの服を着ており、そのシルエットや色彩に心を鷲掴みにされた。お店へ足を踏み入れるだけで緊張し、お財布と相談しながら背伸びをして買ったコートやワンピースは今も大切にクローゼットに並んでいる。

ライフステージが変わった現在、はじめはひとりで通っていたが、今では家族で訪れるようになった。家族といっても、夫や子どもだけでなく、気づいたら母や義兄とも通うようになるのは予想していなかった。わたしにとっては、YEANAYは性別も世代を超えて、楽しめる場所のひとつとなっている。

次の10年も楽しみにしながら、わたしはこれからもお店に通い、常に発見と変化のある服と物の出会いに心を躍らせていくだろう。

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YEANAY KYOTO

営業日・営業時間:不定
※随時instagramより告知
Instagram:yeanay.kyoto

問合:070-1775-1178

 

YEANAY KYOTO

京都府京都市下京区上鱗形町509-4

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