現代美術家・東影智裕の個展「見えない時間 / Niewidzialny czas」が、Gallery Nomartにて開催中だ。
東影智裕は、ウサギやウシといった動物の頭部のようなものをモチーフにした彫刻作品で知られる。緻密な毛並みの表現など写実的な要素をもちながらも、どこか幻想的な違和感を抱かせ、背後にある物語を想起させる作風が特徴だ。
第27回五島記念文化賞を受賞した東影は、海外研修として2017年初春よりポーランドの古都クラクフに1年間滞在。本展では、東京・旧平櫛田中邸アトリエで2021年9〜10月に開催された研修帰国記念展で制作・発表した作品を、Gallery Nomartのために再構成し展示する。
「歴史ある街並みに溢れる光と影の美しさが最も印象に残った」というクラクフでの暮らしが作品にどのように反映されているのか、想像しながら見てみたい。また、東影は近年、繁殖する毛並みそのものに注目したより抽象的なアプローチも試みている。“生と死” を根幹のテーマとする東影ならではの生命感ある抽象表現にも注目だ。
「見えない時間」
「見えない時間」の意味は?と問われることが多いのですが、日本とポーランドなど、どちらかにいると見えない場所でそれぞれ暮らし、それぞれの時間が過ぎていくように、世界のほとんどが見えない時間で構成されています。作品も作者から離れ、本当は作者(僕)から見えない時間の中こそが作品が本当に感じている世界なのでは無いかと感じ「見えない時間」と名付けています。
作品は、五島記念文化賞を受賞し2017年から2018年の1年間、ポーランドのクラクフに渡航し、そこで経験した成果発表として制作し、展示会場として東京の谷中地区にある、彫刻の大家、平櫛田中がアトリエとして使用していた空間を想定した作品になります。
そもそも時間は見えないのですが、旧平櫛田中邸アトリエでの展示を想定し、時間によって移り変わる微かな陰影の変化などから時間を感じ取るような展示にしたいとの考えもあり「見えない時間」としていました。
そして今回、東京の旧平櫛田中邸アトリエから大阪のギャラリーノマルへと場所を移し展示を行い、かつて平櫛田中が実験的な試みも行っていた歴史あるアトリエ兼住居、現代的ホワイトキューブで構成され、実験的試みも行うギャラリーノマル、それぞれ場所も成り立ちも時間の経過も異なり、決して同時にその場の時間を共有することができない、それぞれの「見えない時間」この二つの会場の異なる時間を作品は蓄積し、また新たな時間を刻み、その時間も永遠ではなくいつか終わりが訪れる。
東影智裕
日時:2021年11月27日(土)〜12月25日(土)13:00〜19:00
会場:Gallery Nomart
休廊:日曜・祝日
関連イベント
Performance “見えない時間”
日時:2021年12月18日(土)19:00開場、19:30開演
出演:針山愛美(バレエダンサー)、sara(.es / ピアニスト)
*定員に達したため予約受付終了
大阪市城東区永田3-5-22