2020年に大分県別府市で公開された梅田哲也による回遊体験型作品『O滞』、その連作となる書籍『O滞』が2021年11月15日(月)、NPO法人 BEPPU PROJECTより発行された。制作・発売は、ヒスロムや志賀理江子などの作品集を手がけるT&M Projects。また、12月18日(土)からは別府市内で同作品の再公開がスタートし、あわせて、関連するトークイベントがBEPPU PROJECT Youtube公式チャンネルにて視聴できる。
混浴温泉世界実行委員会が主催となり、別府市にて毎年1組の招聘作家とともにつくる芸術祭「in BEPPU」。2020年招聘作家の梅田は、地図と音声を手掛かりに別府市内数カ所を回遊する体験型作品『O滞』を発表した。また、別府ブルーバード会館では、本作の一環となる映像作品が会期中上映され、鑑賞者は自身の体験と映画の時間を行き来することとなる。
そして本書は、『O滞』に連なる作品のひとつであり、映画の台本、取材ノート、スチール写真とともに、梅田がこれまで各地で発表してきた『はじめは動いていた』(2011年、京都)、『大きなことを小さくみせる』(2011年、神戸)、『小さなものが大きくみえる』(2011年、大阪)、『O才』(2014年、大阪)、『O階』(2020年、埼玉)などの体験型作品をふまえ、作家の思考を追っていくものでもある。
縦組みと横組みの日英文を用いた両面開きの回文的な書籍構造は、Calamari Inc.の尾中俊介とのコラボレーションによるものだ。別府のまちを歩き、あるいは車で移動していく『O滞』の体験を、読む行為へと変換していく編集的な試みとしても素晴らしい。
また、2019年に福岡市美術館で開催された梅田による個展「うたの起源」の学芸員・正路佐知子によるテキスト「赤い実と卵ーー梅田哲也の作品における(不)在をめぐって」も、作品に別の視点をもたらしてくれる。
梅田哲也『O滞』
価格:2,500円(税別)
発売日:2021年11月15日(月)
ISBN:978-4-909442-22-2写真:天野祐子
執筆:梅田哲也、正路佐知子(福岡市美術館)
デザイン・編集:尾中俊介(Calamari Inc.)
編集:田中有紀、田島怜子(NPO法人 BEPPU PROJECT)、松本知己(T&M Projects)
特別協力:オオタファインアーツ
発行:特定非営利活動法人 BEPPU PROJECT
制作・発売:T&M Projects梅田哲也『O滞』再公開
会期:2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日)
休:火曜日、12月28日(火)~1月6日(木)会場:別府市内各所
料金:鑑賞無料(予約制)
主催:混浴温泉世界実行委員会招聘作家:梅田哲也
動画:渡邉寿岳
録音・整音:中原楽
写真:天野祐子
役者:森山未來、満島ひかり
照明・操演:ヒスロム
カチンコ・操演:深野 元太郎
編曲:角銅真実
演奏:大分県立別府翔青高等学校吹奏楽部
衣装・メイク:エッチ美容室
技工:新美太基、時里充
デザイン:カラマリ・インク
出版:T&M Projects関連イベント
梅田哲也『O滞』再公開トークイベント
配信期間:2021年12月1日(水)~2022年2月13日(日)配信予定
配信場所:BEPPU PROJECT Youtube公式チャンネル梅田哲也『O滞』再公開&出版記念イベント
開催日:2021年12月19日(日)
開演:18:30~19:30(予定)
出演:梅田哲也
場所:別府ブルーバード会館3階フレックスホール
定員:80名
料金:無料(予約制)
助成:公益財団法人セゾン文化財団
建物の構造や周囲の環境から着想を得たインスタレーションを制作し、美術館や博物館における展覧会の他に、オルタナティブな空間や屋外において、サイトスペシフィックに作品を展開する。パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点をもたない合唱のプロジェクトなどを国内外で発表。また先鋭的な音響のアーティストとしても国際的に知られている。近年のパフォーマンス作品に「Composite: Variations / Circle」(Kunstenfestivaldesarts 2017、ブリュッセル、ベルギー)、「INTERNSHIP」(国立アジア文化殿堂、光州、韓国、2016年/TPAM 2018、 KAAT神奈川芸術劇場ホール)など。近年の展覧会に「リボーンアート・フェスティバル」(石巻、2019年)、「東海岸大地藝術節」(台東、台湾、2018年)、個展では「うたの起源」(福岡市美術館、福岡、2019-2020年)「See, Look at Observed what Watching is」(Portland Institute for Contemporary Art、ポートランド、米国、2016年)がある。2019-2021年度セゾン・フェロー。