ヒラギノ書体や游書体をはじめ、100以上もの書体を生み出してきた鳥海修の仕事をまなざす展覧会「もじのうみ:水のような、空気のような活字」が、2022年1月15日(土)より京都dddギャラリーで開催中だ。
鳥海は1955年、山形県遊佐町生まれ。美大生時代に訪れた毎日新聞社で、のちに小塚書体などを手がける小塚昌彦から受けた「日本人にとって文字は水であり、米である」という言葉に、鳥海山を望む故郷を重ねて書体設計士を目指した。本展では、鳥海のルーツとなる風景を起点に、日常生活において欠かせない書体がどのように制作され、普段目にするインフラとしての活字となっていくのかを、デザインの過程で生まれたスケッチや試行錯誤の痕跡、下書き、仕上がった原字、実社会での使用例などを通して探っていく。
アートディレクションは、鳥海が2017年まで教員を務めた京都精華大学の教え子でもある、グラフィックデザイナーの三重野龍、イラストレーターの岡村優太、看板屋「看太郎」を営むグラフィックデザイナーの廣田碧。また、キュレーションは堤拓也、空間デザインは加藤正基と、ともに関西を拠点に活動する気鋭の若手が担当。独自の感性で、現代の日常に調和する文字や図絵を表す3者の観点をもとに、鳥海の書体設計をより感覚的・身体的に体感するための空間づくりを図る。展覧会名に「水のような、空気のような」とあるように、日々のなかに馴染む文字。その“馴染む”とはなにかを、鳥海の仕事から読み解くことができるかもしれない。
鳥海修(とりのうみ おさむ)
1955年山形県生まれ。鳥海山の麓で育つ。書体設計士。多摩美術大学卒業後、1979年株式会社写研入社。1989年に有限会社字游工房を鈴木勉、片田啓一の3名で設立。1998〜2019年まで同社代表取締役。株式会社SCREENグラフィックソリューションズのヒラギノシリーズ、こぶりなゴシックなどを委託制作。一方、自社ブランドとして游書体ライブラリーの游明朝体、游ゴシック体など、ベーシック書体を中心に100以上の開発に携わる。2002年に第一回佐藤敬之輔賞、2005年にグッドデザイン賞、2008年に東京TDCタイプデザイン賞を受賞。2007〜2017年まで京都精華大学で書体設計に関する教育や指導に当たる。現在、私塾「文字塾」塾長、武蔵野美術大学非常勤講師。(京都dddギャラリーWebサイトより)
会期:2022年1月15日(土)〜3月19日(土)
開館時間:11:00〜19:00(土曜は18:00まで)
会場:京都dddギャラリー
休館日:日曜、月曜、祝日
料金:無料
問合:075-871-1480
アートディレクション:三重野龍+岡村優太+廣田碧
キュレーション:堤拓也
空間デザイン:加藤正基協力:株式会社SCREENグラフィックソリューションズ、株式会社モリサワ、有限会社字游工房
主催:公益財団法人DNP文化振興財団
京都dddギャラリー
京都府京都市右京区太秦上刑部町10