肥後橋のギャラリー、Yoshimi Arts にて、興梠優護(こおろぎ・ゆうご)の個展「Turbidity」が開催。
興梠は1982年熊本県生まれ、東京藝術⼤学美術学部絵画科油画専攻卒業、同⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻版画研究領域修了。
本展で発表する|シリーズの「|」とは「大文字のI =自分自身」「数字の1」「バーティカルバーの記号表記」といった複合的な意味合いを含む。興梠の制作テーマの中心は「光・レイヤー・イリュージョン」だが、この絵画シリーズでは「内と外」が⼤きな関心事として追加されており、描かれた人物像と背景の関係性が作品の重要な要素となっている。
興梠はこれまで、作品とその外側への関わりについても考察し、作品を制作してきた。2016年の個展「Pond」(Yoshimi Arts)では、キャンバスの側面を正面の延長線ではない蛍光色を塗り、その色が壁に反射することで物理的に外側への関わり方を提示。また2022年1~2月に開催された「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ)では、株式会社堀場製作所の計測の技術を用いて成分分析を行った数値や画像を、偏光顔料や光沢・マット処理をした絵具で描かれた絵画にプロジェクターで投影し、時間によって変化する作品を発表している。
本展でも、興梠がこれまで構築してきた絵画制作の方法を空間全体に応用し、絵画と同様の効果をギャラリーに表出することを試みる。
なお、会期中に、難波の高島屋大阪店と中崎町のCEDARWOODでも、興梠の展示が行われる。3会場を巡るスタンプラリー形式のイベントも興梠優護より開催予定。
本展は、僕にとって最初に生まれたシリーズ「 | (バーティカル)」が中心となっています。
この絵画シリーズでは「内と外」の関係性にフォーカスしているのですが、制作の過程でグレーの背景(外側)と、そこに浮かび上がる人物像(内側)との往復によって、作品が立ち現れていきます。
今回は、ギャラリー内の空間全体をグレーと設定し、曇りや不透明性・香りなど移り気で不安定なものに、色彩の余韻を求めました。
タイトルの「Turbidity(濁度)」とは、水の濁りの程度を表す尺度です。
濁るという言葉には、どこか後ろ向きな印象が漂いますが、これは仏教における「けがれ」や「よごれ」に由来するのかもしれません。
例えば「色」について考える時、汚い色もきれいな色も実は存在しないように、そこにあるのは汚くみえる、或いはきれいにみえる、色彩の関係性のみです。
基準が定まることで、今まで気づかなかったものが見えるようになることがありますが、一方で、感情のように測ることのできない存在もまた、とても尊いものに思えます。
曇天の夕暮れのなかで感じる、こうした何気ない日常の機微が、僕とこの世界との関わりを支えています。興梠 優護
(Webサイトより)
会期:2022年4月6日(水)~24日(日)
会場:Yoshimi Arts
時間:12:00~19:00、日曜12:00~17:00
定休:月・火曜日
問合:06-6443-0080 info@yoshimiarts.com
同時期開催
≡ 興梠優護
会期:4月6日(水)〜18日(月)
会場:髙島屋⼤阪店 6階ギャラリーNEXT(⼤阪市中央区難波5-1-5)ブランド「SATORU SASAKI」とのコラボレーションとペインティングのPOP UP
会期:4月6日(水)〜18日(月)
会場:CEDARWOOD(⼤阪市北区中崎1-3-24)
大阪市西区江戸堀1-8-24
若狭ビル3F