十三のシアターセブンにて、深田隆之監督作品『ある惑星の散文』が上映される。
深田監督は1988年生まれ。2013年、短篇映画『one morning』が仙台短篇映画祭、Kisssh-Kissssssh 映画祭等に入選。
九条のシネ・ヌーヴォXにて上映中の濱口竜介監督『偶然と想像』の2,3話には助監督として参加している。
本作は2018年に第33回ベルフォール国際映画祭(フランス)の長編コンペティション部門、国内では福井映画祭にてノミネートされ、2019年にアメリカ、ポートランドで行われたJapan Currents、日本映画特集にて上映された。深田監督にとっては初の劇場公開作品となる。
脚本家を目指すルイと、精神疾患によって舞台俳優の活動を離れカフェで働いている芽衣子が、それぞれ人生の岐路に立ち不安の中を漂いながらも変化しようと動き出す物語を、繊細なタッチと役者陣の自然な演技により描き出す。
深田隆之監督 ステートメント
『ある惑星の散文』は、かつてアメリカ軍が接収していた土地、横浜市本牧で撮影された2人の女性を巡る長編映画です。”陸の孤島”とも呼ばれる本牧という土地を舞台にしながら、人生の岐路に立つルイとメイコは様々な不安の中を漂います。2人は停滞した時間にいながらも、そこから少しずつ変化しようと動き出します。これが本作が見つめるささやかな物語です。そして、『ある惑星の散文』は距離をめぐる映画でもあります。登場する人物たちの物理的な距離、そして感情の距離が宇宙を漂う惑星のように静かに、しかし刻々と変化していきます。彼らはお互いに近づいては離れることを繰り返しますが、”近い”ことが最良の結末を迎えるとは限りません。
現在、このコロナ禍で私たちは他者との「距離」をこんなにも意識したことはありませんでした。6年前に撮影した本作が今を生きる私たちの感情に、不安と停滞に反響することを願っています。–
濱口竜介監督 推薦コメント
横浜に通い、ロケハンも撮影もして来た者として、本牧あたりの無機質で何処か人間の存在を小さく感じさせる「あの風景」を写し取る詩的な感性に素直に驚く。ただ、小さくとも人は確かに存在している。やがて、この映画はいつの間にか(と言うほかない)二人の女性の実存を問うものに変貌していく。風景のなかにいた人が、ハッキリと浮き出てくる。この危うく美しい瞬間、この映画は詩であるよりも散文であることを果敢に選び取る。ここに監督・深田隆之の向かう先もあるのではないか。
期間:2022年7月2日(土)~8日(金)
*舞台挨拶予定 7月2日(土)富岡英里子、深田隆之監督/7月3日(日)&8日(金)深田隆之監督会場:シアターセブン
料金:一般 1,800円、シニア 1,200円、学生 1,000円 その他割引あり
*割引料金、上映時間等詳細は劇場Webサイトにて。
問合:06-4862-7733
『ある惑星の散文』
2018年/日本/98分
監督:深田隆之
出演:富岡英里子、中川ゆかり、ジントク、渡邊りょう、鬼松 功、伊佐千明、矢島康美、水越 朋(声)
大阪市淀川区十三本町1-7-27
サンポードシティ5F