本特集では、ドキュメンタリーとフィクションの関係やその境界について向き合いました。それは、「事実」「作為」「理解」というような言葉の定義や、それらに付随する葛藤の輪郭をなぞっていくような作業であり、あらためてドキュメンタリーとフィクションの境界というものがいかに流動的で、相互的関係にあるかを感じています。 人が食べるという行為をインタビューを通して観察・分析してきた独立人類学者の磯野真穂さんとの対談では、他者を理解することについて言葉を交わしました。また、現代フランス哲学、芸術学、映像論をフィールドに文筆業を行う福尾匠さん、同じく、映画や文芸を中心とした評論・文筆活動を行う五所純子さん、そして、劇団「ゆうめい」を主宰し、自身の体験を二次創作的に作品化する脚本&演出家・池田亮さんの寄稿では、立場の異なる三者の視点からドキュメンタリーとフィクションの地平の先になにを見るのかを言葉にしていただきました。 対岸の風景を可視化していくこと、まだ見ぬ世界を知覚すること、その先に結ばれた像が唯一絶対の真実から開放してくれることを信じて。そして、今日もわたしは石をなぞる。 小田香 Kaori Oda ー 1987年大阪生まれ。フィルムメーカー。2016年、タル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factoryを修了。第一長編作『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞受賞。2019年、『セノーテ』がロッテルダム国際映画祭などを巡回。2020年、第1回大島渚賞受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
Event
2022.09.28
#ART#EXHIBITION#大阪市#天王寺

上町台地をめぐる現代美術展「オルタナティブ・ロマン」開催。
5名のアーティストによる地域調査・地域介入の結果を一堂に集め公開。

上町台地をめぐる現代美術展「オルタナティブ・ロマン」開催。5名のアーティストによる地域調査・地域介入の結果を一堂に集め公開。

大阪市天王寺区を中心とする「上町台地」をテーマとした現代美術展「オルタナティブ・ロマン」 が、阪口楼ほか天王寺各所にて開催される。

上町台地とは、最北端に大阪城、最南端に住吉大社をおき、標高8〜20mほどの高台になっている地域を指す。大阪市の大部分が海底にあった太古から人々が集住し、特に古代から中世にかけて大阪の文化の集約が見られ、それにともない多彩で豊かな人々の営みが行われてきた。今でもその中心地には、日本で最初の官寺である四天王寺と、日本で一番の高層ビルであるあべのハルカスが近接し、古今が渾然一体となった景観が印象的だ。

上町台地をめぐる現代美術展「オルタナティブ・ロマン」開催。5名のアーティストによる地域調査・地域介入の結果を一堂に集め公開。
参考画像:2022 年「アノ ヒダマリニテ」展示風景(主催: TRA-TRAVEL / 助成: アーツサポート関⻄ ASK「上町台地現代アート創造支 援寄金助成」 、一般財団法人おおさか創造千島財団「2021 年度創造的場づくり助成活動」/ 協力: 淨國寺、真光院、心光寺、大覚寺、超 心寺、イチノジュウニのヨン、柳本京子(敬称略、順不同))/ © Yukawa-Nakayasu、葭村太一)

民間からの寄付を集め関西の文化芸術を支援するアーツサポート関西は、上町台地にある寺社やその歴史などを独創的な手法や表現によって浮かび上がらせる作品制作・リサーチを対象とする「上町台地現代アート創造支援寄金」を2018年に創設、助成を受けたアーティストたちが継続的に活動を展開してきた。
本展では、これまでの取り組みの総体を一堂に展覧。笹原晃平のキュレーションのもと、5名の作家が作品およびリサーチ結果を展示する。
展示会場は、1969年から料亭として営業していた阪口楼(2020年に閉業)や旧住友吉左衛門茶臼山本邸土蔵など5ヶ所で、本展により初めて本格的な一般公開を行う施設も含まれる。

上町台地をめぐる現代美術展「オルタナティブ・ロマン」開催。5名のアーティストによる地域調査・地域介入の結果を一堂に集め公開。
参考画像:「オルタナティブ・ロマン」展のメイン会場となる阪口楼および天王寺公園周辺の位置関係

展覧会コンセプト
大阪の上町台地ではこの数年、その特異な文化史へ呼応する形で、アーティストによる表現の実践が行われてきました。それらは、太陽の塔から続く巨大シンボル彫刻や、社会実装などのアートイベントや、大規模アートフェアといった、昨今の大阪で隆盛するアート企画とは全く異なるものです。この文脈を「あったかもしれない小説」(=オルタナティブ・ロマン)と位置付け、彼女/彼らが表現を通して史実や土地とどのように向き合ったかに迫る展覧会を目指します。

(本展覧会キュレーター:笹原晃平)

 

参加アーティスト(五十音順)

兼子裕代
⻘森県生まれ。現在カリフォルニア州オークランド在住。明治学院大学文学部フランス文学科卒業後、会社員を経て、
1998年頃より写真家として活動。2003年サンフランシスコ・アート・インスティチュートに留学、2005年同校写真
科修士課程修了。2009年家族の入浴を撮った「センチメンタル・エデュケーション」でサンタフェ写真賞受賞。2020年歌う人のポートレート・シリーズ「アピアランス」刊行(⻘幻舎)。2022年写真の会賞受賞。

笹原晃平
東京都出身、大阪府在住。東京芸術大学美術学部先端芸術表現科卒業。周辺環境への取材とその場の関係性の構築か
ら出発し、インスタレーション作品制作および展覧会企画をするアーティスト。主なキュレーション展に、2012年『ア
ーキテイルズ』(Do a Front、山口)、2017年『スポンテイニアス・ビューティー』(京都芸術センター、京都)、2022年『千島土地コレクション展 – TIDE 潮流が形になるとき -』(kagoo・千鳥文化・クリエイティブセンター大阪、大
阪)などがある。FRAC Grand Large(フランス)に作品所蔵。

松田壯統
1982年兵庫県生まれ。2009年 東京芸術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻修了。 2017-18年 ポーラ美術振興財団 在外研修員としてアイルランドに滞在。2019-21 文化庁新 進芸術家海外派遣制度研修員としてポーランドに滞在。地震により倒壊した家、そこに差し込んだ光を新しく生まれた光ととらえ、象徴が明滅するような儀式・空間を構築、失ったモノへのアプローチを行う。家・太陽・魂などに潜り込み、新しい光や祈りをみえない生命の流れとして刻んでいく。2019年ポーランド日本国交100周年の展覧会(京都・ポーランド)に参加。

Yukawa-Nakayasu
1981年大阪府生まれ。 歴史や習俗や習慣をもとに、社会や身体、日常に内在している営為や現象を視覚化する作品を制作。特に、近年では「生命の循環」まで視野を広げ、生命の営みとその現象との相互関係に着目している。近年の展覧会では、『Dear』(2022年、飛田会館、大阪)などがある。また 2019年からアートハブ TRA-TRAVELを立ち上げ、2020年『ポスト LCC 時代の 』(京都芸術センター)などの展覧会をプロデュースする。

葭村太一
1986年兵庫県生まれ。日常に溶け込んでしまった“痕跡”に焦点を当て、その奥に存在するであろう目には見えない不
確かな部分から作品を制作している。忘却し消えゆくものの時間を保存し、時間感覚の本質を問いかける。主な展覧
会に、2021年個展「Imitation or mimic」(千鳥文化ホール、大阪)、2020年個展「REACTION」(VOU、京都)、2019年「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019」(記念碑台、兵庫)など。2020年から大阪北加賀屋にあるシェアスタジオ
「Super Studio Kitakagaya」を拠点に活動。

オルタナティブ・ロマン
– 大阪・上町台地をめぐる現代美術展 –

会期:2022年10月12日(水)~23日(日)

会場:阪口楼、旧住友吉左衛門茶臼山本邸土蔵、旧黑田藩蔵屋敷⻑屋門、あべのハルカス、浄國寺

時間:13:00~18:00

料金:入場無料

参加作家:兼子裕代、笹原晃平、松田壯統、Yukawa-Nakayasu、葭村太一

キュレーション:笹原晃平
プロジェクト・マネージメント:山本正大(少年企画、Birds)、佐藤真理
デザイン:鈴木大義

主催:上町台地アートワークス実行委員会、上町台地アートプロジェクト実行委員会
共催:和宗総本山四天王寺、一般財団法人大阪地域振興調査会、大阪市立美術館
助成:アーツサポート関西、公益財団法人野村財団

関連イベント
「上町台地芸術フォーラム@OSAKA」
(国際シンポジウム)
日時:10月11日(火)13:30〜18:40
場所:四天王寺本坊五智光院
プログラム:
第1部「人の移動とネットワークの近未来」(清水知子、池上高志、佐久間洋司ほか)
特別公演 素浄瑠璃「上町台地に関わる摂州合邦辻のさわり」(豊竹呂太夫)
第2部「アートの現場と人のネットワークによる都市づくり」(ヴァレリア・シュルテーフィッシュディック、アリア・スワスティカ、原久子、髙田光雄、ほか)

問合:上町台地アートワークス実行委員会 06-6556-6684(平日 13:00~18:00) uemachiartworks@gmail.com

阪口楼

大阪市天王寺区茶臼山町1-30

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おおさか創造千島財団
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