2023年3月18日(土)、19日(日)にかけ、国立国際美術館にて第24回中之島映像劇場が開催される。
中之島映像劇場は、同館が収集してきた映像作品の定期上映会をシリーズとして企画化し、2011年の東日本大震災後にはじまった。これまで年2回のペースで、国内外で制作された実験映画や個人映画、アニメーション、ドキュメンタリー作品などを取り上げ、上映機会の少ない稀少な映像を含む作品群を公開し、作品解説や資料の作成も展開。映像表現の可能性を過去作から再発見するとともに、未来の映像文化を予示しようと試み続けてきた。
今回のテーマは「ケアする映画をたどる」。健康に対する配慮やそのための手助けといった行動を指す“care(ケア)”を、看護や介護、保育といった福祉の現場のみならず、生存に関するあらゆる空間で実践されるものととらえ、ケアの受け手と与える者とのつながりに焦点を当てる。
上映作品は、映画照明技師の渡辺生が、妻の闘病生活や、老人医療・看護の現場と患者を支える家族、地域福祉をカメラでまなざし、構成・編集をドキュメンタリーの先駆者である佐藤真が手がけた『おてんとうさまがほしい』(1994年)、また福祉映画の巨匠・柳澤壽男が監督した『夜明け前の子どもたち』(1968年)、『こっちやない、そっちや―コミュニティ・ケアへの道―』(1982年)など全8作品。
制作の過程で「ケアとは何か」を問い直してきた試行錯誤の痕跡は、他者との応答を繰り返し、失敗も挟みながら調整を進めるケアの過程とも重なり合う。映画がどのようにケアの空間に寄り添い、容易には答えの出ない問いと向かい合ってきたのかを思考する機会に注目したい。
開催日:2023年3月18日(土)、19日(日)
会場:国立国際美術館 地下1階講堂
定員:100名(全席自由、先着順)
※各プログラム入れ替え制
※各日10:00から当日の各プログラムの整理券を配布(1名につき1枚)料金:無料
問合:06-6447-4680(国立国際美術館)
主催:国立国際美術館、国立映画アーカイブ
協賛:ダイキン工業現代美術振興財団
3月18日(土)
Aプログラム…13:00〜(冒頭で担当者による解説あり)
『痴呆性老人の世界』(16mm/1986年/84分/国立映画アーカイブ蔵)
※作品タイトルは、オリジナルを尊重して、そのまま記載しています。Bプログラム…15:30〜
『おてんとうさまがほしい』(16mm/1994年/47分)
『保育園の日曜日』(デジタル上映【原版:16mm】/1997年/20分)Cプログラム…17:30〜
『子どもをみる目 ―ある保育者の実践記録から―』(16mm/1978年/45分/国立映画アーカイブ蔵)※褪色したプリントでの上映
『ともだち』(デジタル上映【原版:35mm】/1961年/59分)
3月19日(日)
Dプログラム…10:30〜(冒頭で担当者による解説あり)
『夜明け前の子どもたち』(16mm【原版:35mm】/1968年/116分/国立映画アーカイブ蔵)
Eプログラム…13:30〜
『そっちやない、こっちや ―コミュニティ・ケアへの道―』
(16mm/1982年/110分/国立映画アーカイブ蔵)Fプログラム…15:50〜
『養護学校はあかんねん! ‘79.1.26ー31文部省糾弾連続闘争より』(16mm/50分/1979年/神戸映画資料館蔵)
大阪市北区中之島4-2-55