クリエイティブユニット「graf」のオリジナルプロダクトシリーズ「TROPE(トロープ)」は、あらかじめ決められた用途や役割を与えられていない、使い手の想像力を伴うことで機能を見出すプロダクトシリーズだ。
「ものや情報があふれるいまの時代に必要なものはなにか」という考えのもと、2011年よりスタート。2019年からは、建築家、哲学者、木工家など異なる領域で活動している人たちとTROPE の概念を再構築しながら「TROPE HACKS」として、新たなプロダクトアウトに向けて実験を繰り返してきた。
今回、「TROPE HACKS 4.0 EXHIBITION」と題し、これまでのリサーチや実験の様子と合わせて試作品が展示される。会場は、現在宿泊施設オープンに向けて解体中のgraf studioの2F。用途のない空間のなかと道具から、工夫をする楽しさや潜在的な記憶を呼び覚ませられるような内容となっている。
dot architects(建築ユニット)
設計だけにとどまらず、現場施工、リサーチプロジェクト、アートプロジェクトなどさまざまな企画にも関わる。今回、石と木をベースにした道具を制作。「石」と「木」という物質は太古の昔からそれぞれの特性に合わせて、人間や動物によって広く使用されてきたいわば「道具以前の道具」。現代を生きる私たちが最もプリミティブな素材に触れることで思いがけない知恵に出会えるかもしれない。
川合優(木工家)
SOMA ディレクター。自身の作品制作に加え、2016年にSOMAを立ち上げ、同ブランドのディレクターとして森と人とをつなぐ活動をしている。木工の大きな可能性のひとつとしての「土に還る」という性質を探った。時間の経過とともに形が崩れ、やがて土へと還っていく。祈るという行為や対象の形状について考察し、人の想いが込められることで完成するものを考えた。
カワイハルナ(アーティスト)
幾何学形態で構成された独自の造形物を描いており、建築、プロダクトなどの立体物から思想を得ている。国内外での展示に参加、装丁画も手がけ、主に東京で活動。今回の試作では、重力を無視した思考が立体と平面を往来しながら架空の造形物を実在させ、新たなものの見方を提示。物体の重みがありながら浮遊感の漂うプロダクトで、使い手の想像力を伴うことで個性が出るような道具を考えた。
関西大学 SABRG(身体論研究グループ)
関西大学の学際的な研究グループ。「22 世紀の身体論」「建築する身体」「死なない」をテーマとして、現代美術家荒川修作+マドリン・キンズの芸術と思想について考察している研究グループ。日常のなかで無意識に思い込んでいる行為の連鎖や身体の使い方に注目し、新たな感覚をつかむ仕掛けを考えた。安定した日常を揺さぶり、新しいものの見方や身体の使い方に気づくきっかけとして、日常にTRAPの種をまく。
UMA / design farm(アートディレクター・デザイナー)
大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくり出すことを目指している。
鞍田崇(哲学者)
ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、工芸・建築・デザイン・農業・民俗などを手がかりとして、現代社会の思想状況を問う。今回の展示ではつちや織物所との共同で展示を行う。
期間:2020年3月20日(金・祝)〜29日(日)
時間:11:30〜17:00 ※営業時間短縮中
定休日:3月23日(月)、24日(火)
料金:入場料無料
問合:06-6459-2100
graf studio 2Fにあったデザインオフィスを移転し、泊まれる実験空間のオープンに向けて準備中。今回の展示は、解体中の空間で開催いたします。
参加作家:dot architects(建築ユニット)、川合優(木工家)、カワイハルナ(アーティスト)、関西大学 SABRG(身体論研究グループ)、UMA / design farm(アートディレクター・デザイナー)、鞍田崇(哲学者)
大阪市北区中之島4-1-9