大阪北部と兵庫県をつなぐ能勢電鉄(通称:のせでん)沿線を舞台とし、地域とアーティストが一体となってつくる2年に1度の芸術祭「のせでんアートライン」が10月26日(土)から開催される。
4回目の開催となる今年、アートプロデューサーをつとめるのは「前田文化」。茨木市で古い文化住宅を拠点に唯一無二な発想で活動を展開している彼らが選んだテーマは「避難訓練」だ。
大阪から約1時間、川西能勢口駅からのせでんに乗って能勢妙見山へ至るまでのルートと、能勢妙見山の裾野の集落をメイン会場に、国内外の8 組のアーティスト(井上亜美、渡邉朋也 a.k.a. なべたん、岡啓輔、深澤孝史、contact Gonzo、拉黒子・達立夫[台湾]、渡部睦子[オランダ]、ディエゴ・テオ[メキシコ])による作品展示やパフォーマンスを展開する。
以下、アートプロデューサー・前田文化によるステートメント。
2018 年夏、大きな揺れと食器が割れる音で目が覚めました。すぐに「外に逃げなければ」と考えました。しかし、シャツもズボンも身につけていなかった私は同時に「裸で外に出てもいいのか」と考えて躊躇していました。私にとっての危機は「たとえパンツ姿だったとしても、余裕で外に脱出する」という瞬発的な思考が備わっていなかったことでした。知らないうちに自分の身体にまとわりついた習慣や認識、世の中で生み出されている空気感や規則性からいつどんな場所にいても身軽に回避するための、思考や経路を探る“避難訓練”が必要だと感じました。
のせでんアートライン2019「避難訓練」は、能勢電鉄(通称のせでん)に乗って途中下車を繰り返しながら 、その先に無数に伸びた“経路”をひたすらに歩いて巡る芸術祭です。のせでん沿線は、今も活発に人々が行き交う街並み、あまりにも豊かな生態系と多様な信仰が残る山間部など、それぞれ異なる特徴をもつ風景が絶妙な距離感で接し合っています。
8 組のアーティストは、のせでん沿線地域を歩き、さまざまな場所を訪れ、人のみならず動植物の声に耳を傾けてきました。この地域を構成する街や自然、コミュニティを新たな視点でつなぎ合わせ、生み出された8 通りの“避難訓練”。作品が問いかける危機は何なのか、何に備えているのか、ぜひこの土地を歩きながら考えてみてください。
また、この地域性を活かし育んできた団体や個人による12の地域プロジェクトは、訪れるかもしれない困難から軽やかに回避する未来への経路を、日常の延長線上に予感させてくれるはずです。
アートを巡り歩きながら思考し、新たな視点を獲得する体験を、この地を訪れるみなさまと共有することが、のせでんアートライン2019が目指す“避難訓練”です。
会期:2019年10月26日(土)〜11月24日(日)
会場:川西能勢口駅〜妙見口駅、能勢妙見山の一帯ほか
参加アーティストと作品タイトル:
・井上亜美《ミツバチの見た夢》
・渡邉 朋也 a.k.a. なべたん《なべたんの極力直そう around のせでん》
・岡 啓輔《もう一度、グリグリと強い線を引く》
・深澤孝史《NEW TOWN MY HOME THEATER》
・コンタクト・ゴンゾ《from dusk till dawn》
・拉黒子・達立夫《面向北方的方向,是回家的地方(北方へ向かえば、そこは私の帰る場所)》
・渡部睦子《星見るひとたちと出会う旅》
・ディエゴ・テオ《UBASTE》
問合:のせでんアートライン2019事務局
info@noseden-artline.com
プレイベント「備えあれば憂いなしPARK」
その土地に生きる人の“備え”や“憂い”を収集し、あらゆる角度からやってくる“危機”を全力で回避する様子(避難ムーブ)を記録しアーカイブする。会期中は、「備えあれば憂いなしスタジオ」としてのせでんアートライン2019を盛り上げる。
兵庫県・宝塚市
日付:10月19日(土)
時間:10:00〜
場所:末広中央公園(兵庫県宝塚市末広町3)
※「宝塚音楽回廊2019 ~PEACE&ACOUSTIC~」内で開催
「備えあれば憂いなしスタジオ」
日程:10月27日(日)〜11月24日(日)
時間:10:00〜17:00
場所:妙見口駅前・かめたに駐車場
のせでんアートラインオープニングイベント 岡啓輔「逆オンバシラ祭」
豊能町立ふれあい広場から東ときわ台5丁目1号公園まで、巨大なコンクリート柱を神輿のように担いで運ぶ。
担ぎ手100人募集中 →募集のページ http://noseden-artline.com/2019/news/#245
日付:10月26日(土)
時間:10:00〜17:00
出発場所:豊能町立ふれあい広場