俳優、陶芸/美術家、演出家という異色の3名からなる京都のアート・コレクティブ「レトロニム」。無料団体誌『スーパーリラックス』の編集・発行とともに、パフォーマンスや展覧会などの企画・発表にも取り組んでいる。2023年11月には、山中suplexが期間限定で運営していた別棟「MINE」(大阪市西区)にて、キュレーション展「ビジター・キュー」を開催した。
2024年5月26日に、レトロニムの演出家である野村眞人が企画・製作する演劇作品『吉日再会』が、大阪市旭区の大阪市立芸術創造館にて上演される。
本作は、2020年12月に京都芸術センターで上演した『わたしが観客であるとき』という上演作品の制作の過程で、大阪で長年にわたり精神科訪問看護師をしていた、レトロニムの俳優・瀬戸沙門の父親と出会ったことがきっかけとなって生まれた。近年の野村の関心ごとを、上演作品としては初めて発表するものとなる。
ステートメント
精神科訪問看護師の、利用者の私宅という各個別の場所で行う対話を中心とする仕事を手がかりに、あなたとわたしという目の前の誰かとの関係の端緒について見つめ、そして親と子という最初の関係性についての現実的な上演を試みるものです。
出演するのは、大阪で精神科訪問看護師として長年にわたり働いてきた男性と、レトロニムの俳優・瀬戸沙門の2名です。二人は父親と息子でもあります。
2020年に出会ったこの親子と時間をともにするうちに、わたし自身の家族や精神医療などへの関心が重なり、過ごした時間をそのまま上演作品として発表したいと思うようになりました。そして、大切な演劇となりました。
舞台上で行われることは、訪問看護師は俳優を相手に仕事を再現して見せ、そして息子は父を相手に自らの仕事を演じて見せること、ただそれだけです。「吉日再会」という、父親が息子に宛てるメールの最後にいつも添えている言葉をタイトルに借りたこのささやかな演劇を、劇場で見てもらえると嬉しいです。
野村眞人
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プロフィール
野村眞人(のむらまさと)
演出家。レトロニムのメンバー。京都を拠点に、演劇作品を劇場内外で制作・発表している。人・場所・環境の現実的な関係に演劇を引用し、アクチュアルなフィクションに再構築する。近年は、青森県津軽地方での墓にまつわるフィールドワークや、精神医療や高齢者福祉施設でのリサーチをベースとした作品・プロジェクトに取り組んでいる。主な上演作品に『分身巡礼』(2022)、『ルーム・ダビング』(2020)、『わたしが観客であるとき』(2020)など。ほか、映像作品『景観と風景、その光景(ランドスケープとしての字幕)』(2020)、展示作品『青森に墓参りに行った4日間の話』(2022)など。また、俳優として村川拓也作品、庭劇団ペニノなどにも参加。利賀演劇人コンクール2018優秀演出家賞受賞。「部屋と演劇」のメンバーでもある。レトロニム
瀬戸沙門(俳優)、武内もも(陶芸/美術家)、野村眞人(演出家)からなる京都のアート・コレクティブ。劇団という集まりの単位から形を変え、2022年から無料団体誌『スーパーリラックス』の編集・発行を中心に集まる現在の形となる。
都市や生活の中ですでに起こっている現象や経験している出来事、観客/観客席といったキーワードから再び演劇を考え直すことに関心を寄せ、団体誌の発行とともにパフォーマンスや展覧会などの企画・発表にも取り組んでいる。
近年の活動に、『ルーム・ダビング』シリーズ(2020~/SCOOL, 愛知県芸術劇場, 金沢市犀川河川敷 ほか)、『景観と風景、その光景(ランドスケープとしての字幕)』シリーズ(2020~/京都市内路上, 城崎国際アートセンター周辺 ほか)、『サーチ・エンジン』(2023/ロームシアター京都)などのパフォーマンス、グループ展『(ひとり入ったらその分溢れる)プールのサイド』(2022/わいわいぱ〜く, 京都)、グループ展『ビジター・キュー』(2023/山中suplexの別棟「MINE」, 大阪)のキュレーションなどがある。
日時:2024年5月26日(日) 13:00 開演/18:00 開演
※受付・開場は開演の20分前/上演時間約80分(予定)会場:大阪市立芸術創造館 3F 大練習室
出演:瀬戸沙門、瀬戸敏由紀
演出:野村眞人
舞台監督:小林勇陽
協力:武内もも、豊山佳美入場料:2,000円(当日現金精算のみ)
チケット予約フォーム https://forms.gle/nkEXsF1usuxviYfc6企画・製作:野村眞人
主催:レトロニム
大阪市旭区中宮1-11-14