
2025年7月12日(土)より、今里のギャラリー・JITSUZAISEIにて、河合郁希による個展「足元を観る」が開催される。
河合は1999年大阪生まれ。
日常的な風景をモチーフに、観る者の潜在的な記憶を想起させる表現を探求している。
2023年 Idemitsu Art Award2023 入選。
自身は普段気にも留めない日常的な風景やシーンをあえてモチーフにし、無意識下の記憶を想起させることで、鑑賞者の自己理解を深めるきっかけづくりを狙っている。
本展では、風景の要素の一つである「地面」とそこに写る「痕跡」に焦点を当てた「MOG (the marks on the ground)」シリーズを展開している。
当たり前のように街中に存在している地面には、観察すると空などの様々な色が反射し、
近くにあるオブジェクトは影として写っている。
そしてその影と、実際に存在する白線や植物、汚れとの重なり合いは時間と空間、現実と虚構が入り混じる。
足元にあった風景は自分が本来”見ていて”、”観ていなかった”もので、さらに画角外の想像を膨らませるという、「MOG」シリーズは自身の狙いに近い自己理解のプロセスを踏むことができる。
そして少し話は逸れるが、自身の作家活動はサン=テグジュペリ作『星の王子さま』での一節「かんじんなことは目に見えないんだよ」に大きく影響されている。
「かんじんなこと」とは、思いやりのメタファーだと解釈している。自己理解を深める行為は自分自身への思いやりであり、深めることでやがて他者への思いやりに変化していくと考える。
しかし結局のところ「かんじんなことは目に見えない」のが現実である。
低めの彩度で構成された「MOG」シリーズは、その虚無感と同時に裏に潜む深い記憶や感情も内包している。
作品を通して自己理解のきっかけは掴めるかもしれないが、結局あとになって理解の甘さにやり場のない怒りを覚えるだろう。
会期:2025年7月12日(土)〜27日(日)
会場:JITSUZAISEI
時間:14:00~19:00/BAR 19:00〜(不定休のため20:00以降は要連絡)
休廊:火・水曜
問合:06-6224-4475
大阪市東成区大今里4-14-18