
「文化活動家」という肩書きで、音楽や対話を通じた多様な「プロジェクト=場づくり」を各地で実践してきたアーティスト/文筆家のアサダワタルの初めての個展が、東大阪の本と音楽のお店・ときどきゼミ〈とか〉にて開催される。2025年7月25日に刊行された、アサダの7冊目となる単著『当事場をつくる―ケアと表現の交わるところ―』(晶文社)の出版記念企画。
アサダは1979年大阪生まれ。サウンドユニット「SjQ」のドラム担当、ソロプロジェクト「大和川レコード」などの音楽活動と並行し、築港ARCやココルームなど大阪のアートの現場でも活動してきた。その後は国内外で「ケア」と「表現」の交わる多様な現場に携わり、現在は近畿大学文芸学部准教授を務める。
本展の会場となる〈とか〉は、近畿大学の近くの商店街にアサダがオープンした、古本屋・中古レコード店、コミュニティスペース。築90余年のクリーニング屋をリノベーションした店舗で、商店街を行き交う人々とさまざまな表現が出合う機会を創出している。
この度刊行された『当事場をつくる― ケアと表現の交わるところ―』は、福祉をたずねるクリエイティブマガジン「こここ」に2021〜2024年に連載された文章を再構成した書籍。障害とアートの交わる現場や被災地復興支援で体験した出来事、また勤務先施設でのハラスメント事件への葛藤を経て、「当事場」というコンセプトを生み出すに至るまでの思考を綴った一冊だ。
今回の出版記念企画では、本書で描かれる障害、震災、性暴力といった現実のそばに佇む人々との共同プロジェクト、その記録映像・音声のアーカイブ展示、そして“対話と演奏”をテーマにした新作の楽器兼家具「ドラテーブル」の発表と実演パフォーマンス等が予定されている。
アサダワタル プロフィール
1979年生まれ。アーティスト、文筆家、近畿大学文芸学部准教授、古書・ レコード屋〈とか〉オーナー。「これまでにない他者との不思議なつながりかた」をテーマに様々な生活現場に出向き、音楽と対話をもとにしたプロジェクトの企画演出、作曲演奏、執筆活動を行う。総じて自称 “文化活動家”。博士(学術, 滋賀県立大学)。2002年にバンド「越後屋」のドラマーとして、くるり主宰レーベルNOISE McCARTNEY RECORDSより2枚のCDをリリース。2003年以降、サウンドユニット「SjQ」(HEADZ)のドラム担当と平行して、ソロプロジェクト「大和川レコード」始動。その後紆余曲折を経て、2010年代から国内外の都市、福祉施設、学校、復興団地などでプロジェクト型の表現を主とするアーティストとして活動してきた。自宅を創造的に開放し他者とつながりを生むムーブメント「住み開き」の提唱者としても知られる。
近年の主な演出プロジェクトに、「クロスプレイ東松山 また明日も、歌ったような」(埼玉県東松山市, 2022-2023)、「コロナ禍における緊急アンケートコンサート 声の質問19」(東京都足立区、2021)、「ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへ」(福島県いわき市, 2016-2021 / 2022に音源、2023に映画化)など。主な著作に『住み開き増補版 もう一つのコミュニティづくり』(筑摩書房)、『想起の音楽 表現・記憶・コミュニティ』(水曜社)、『表現のたね』(モ・クシュラ)など多数。受賞歴に、サウンドプロジェクト「SjQ++」(ドラム担当)でアルス・エレクトロニカ2013サウンドアート部門準グランプリ、CD作品 「福島ソングスケイプ」(アサダワタルと下神白団地のみなさん名義)で2022年度グッドデザイン賞など。2025年夏に5年半ぶりの単著『当事場をつくる ―ケアと表現の交わるところ―』を晶文社より刊行した。
アサダワタル個展「砕け散った瓦礫の中の一瞬の星座―リーディング、アーカイブス、ドラテーブル―」
会期:2025年8月24日(日)〜31日(日)
会場:本と音楽のお店・ときどきゼミ〈とか〉
時間:12:00〜20:00(関連企画により変動あり)
参加費:無料 ※関連プログラムは有料・要予約
関連プログラム
アサダワタル ソロパフォーマンス & ギャラリートーク
日時:(1) 8月30日(土)19:00〜21:00 (2) 8月31日(日)19:00〜21:00
会場:〈とか〉
定員:各回15名
参加費:通常 2,000円 / 新著セット割 3,800円(※書籍代より20%引き)前田洋太さん講演会「普段僕が考えていること」
日時:8月30日(土)10:30〜11:30
会場:〈とか〉
定員:15名
参加費: 通常 1,000円 / 新著セット割 2,800円(※書籍代より20%引き)映画『ラジオ下神白』上映会 + アフタートーク
日時:8月31日(日)10:00〜11:30
会場:ながせのながや (大阪府東大阪市菱屋西1-19-4 /〈とか〉より徒歩2分)
定員:20名
参加費: 通常 1,500円 / 新著セット割 3,300円(※書籍代より20%引き)Pieta「親孝行カフェ at ドラテーブル」
日時:(1) 8月26日(火)14:00〜16:00 (2) 8月28日(木)14:00〜16:00
会場 :〈とか〉
参加費:茶菓子代実費(予約不要)出張 モリトラコーヒー
日時:8月29日(金)17:00‒20:00
会場 :〈とか〉※関連イベントの申込はこちら
主催・演出 :アサダワタル
ドラテーブル 設計・制作:アサダワタル、安川雄喜
読書映像ディレクション : アサダワタル
撮影・編集:奥田峻史
広報デザイン:竹内公啓(PUBLIX DESIGN)
マネジメント:渡辺智穂、黒田つむぎ
協力:ラジオ下神白上映委員会、Pieta、NPO法人なないろサーカス団、ながせのながや(あきばこ家)、 モリトラコーヒー
東大阪市西上小阪14-14