
STATEMENT
今って、言語過多?
読む、聴く、見る、この順番は、あなたの感覚をどう揺さぶるのだろうか。
言葉は魚の背鰭や尾鰭のように断片を照らし出しますが、その一方で、魚の体そのものを見えなくしてしまうこともあります。本展は、その「見える部分」と「見えない全体」をめぐる体験を、鑑賞者とともに構築できないかと考えています。小説が映画化された時、小説を読んでから見た人、読まずに見た人、見てから読んだ人、そんな彼らの感覚の中では、一体どのような軌跡が描かれるのだろう。
多くの鑑賞者は、きっといまだにアートは難しい、説明が必要だ、と思っているだろう。
私は、一鑑賞者としてその感覚は非常に理解できる。
だが、一方で、実際のところ、なんでも説明してしまうと野暮になってしまうこともある。
それに、言葉にして説明することは相当難しく感じる場面があるのもまた事実である。
アーティストたちは、言葉にできないからこそ視覚言語(見るものとしてのアート作品)をアウトプットして、それを通して、みんなと対話しようとするのである。
この現象は、作品と鑑賞者との間にだけいえる話なのだろうか。きっとそんなことはない。
何事もおそらく言葉が過多になると胡散臭くなったり、想像する余地がなくなってしまう。
逆に、言葉が不足すると不安になったり、余白を楽しむことができたりもする。
言葉と言ってもまた種類がある。書き言葉と話し言葉を例に挙げてみても、それぞれにその情報の色合いは異なってくる。書き言葉は、文字の形もまた一つの言語として機能しうるし、話し言葉にあっては、話し手の声色、調子が同様に機能しうる。
アーティスト プロフィール

2002年日本・山形県生まれ。
東北芸術工科大学 芸術学部 美術科 日本画コースを卒業後、同大学大学院 芸術工学研究科 芸術文化専攻 絵画研究領域・日本画を修了。 山形を拠点に制作をおこなっている。触知可能な場としての物質界に対し、精神界は内的知覚の場として在る。その二つの場の狭間に界面があり、絵もそこに位置する。
語られなかった違和や震え、既に実体を失った気配さえも、そこでは踊ることができる。絵は器でもあり、痣でもあり、壁でもあり、夢でもあり、当然の如く絵である。狭間に生じる揺らぎに触れ続け、現れきらないものの輪郭を受け取ることが私の役目である。

2000年岐阜生まれ
2023年愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業、2025年愛知県立芸術大学院美術研究科油画版画領域修了 愛知を拠点に活動油絵具、水彩、色鉛筆、木炭などのさまざまな描画材を用いて絵を描いています。絵を描き始める時、ぼんやりとした言葉から出発し、言葉と日常、そしてキャンバスを見つめながら線を引きます。その線の重なりからいくつものカタチが生まれてきて、言葉と日常、カタチとが星座を繋ぐようにして、だんだんと絵が立ち上がります。
この世界で生きることを私はポジティブに受け止めています。天気に気持ちが左右されること、風に吹かれる木々の音に安心すること、原付で走ることの爽快さとか、いろんな出来事が色鮮やかに感じられます。
それに反するようですが、有限であるこの世界の現実に憂いる私がいるのも確かです。穏やかに受け止めたいところですが、抗いたいと思う自分がいます。
絵を描くことで世界(日常)の形を確認し、記録しながらも、もっともっと自由な場所へ行こうとする小さな抗いを重ねているのかもしれません。

2000年東京生まれ
東京藝術大学院 油画技法材料第一研究室在籍自己の内面にある「箱庭」をモチーフに、その中で繰り広げられる登場人物達の掛け合いをスナップ写真的に切り取り絵画にしています。
幼少期から東京で育ち、様々な都市の繁華街がルーツであるグンジは、都会的な寂しさを原風景にその中にある人間らしさに焦点を当て、刹那的な人間模様や隣人愛をテーマに、制作しています。

2002年神奈川県生まれ。
ベルリン芸術大学ファインアート科 交換留学、多摩美術大学 美術学部 絵画学科 油画専攻修了、多摩美術大学大学院 美術研究科 修士課程 修了。神奈川を拠点に活動。制作を「行動の連続」として捉え、人生そのものを作品が生成されていく過程として見なしている。
では、「作品制作」と呼ばれる時間と、そうではない時間とのあいだに、明確な境界は存在するのだろうか。そこにある違いは、行動そのものではなく、後から与えられた名前にすぎない。どれほど異なる行為であっても、身体は常に一つであり、行動を切り分けることはできない。
人生における一つひとつの出来事や経験が、現在の自分の行為を形づくっていく。予期しない出会いや偶然の連続によってつくられてきた現在の自分は、一つの作品とも言い換えることができる。つまり、制作について考えることは、人生そのものについて考えることでもある。
人生は偶然の出会いによって形づくられ、また同時に、その偶然の出会いが新たな人生をつくっていく。むしろ私は、制作を通して生活を学ぶのではなく、生活のなかから行動や偶然性を学び、それらを制作へと再現している。
このような視点から、自身の人生を研究するとともに、「制作」という言葉が前提としている枠組みそのものを問い直している。
グループ展「言葉で見えてくる背鰭と尾鰭、言葉で見えなくなる魚の体」
参加アーティスト:石黒 光、大野 瑠菜、グンジ、松澤 薫会期:2026年8月8日(土)〜9月5日(土)
会場:Marco Gallery
時間:13:00〜18:00 ※最終日は17:00まで
定休:月・火曜、祝日 ※水曜はアポイント制
大阪市中央区南船場1-12-25
竹本ビル


