
美術作家・新村葉月(しんむら・はづき)の個展「The wall/a wall」が、2026年8月21日(金)から中崎町のアトリエ三月にて開催される。
新村は大阪出身。大阪教育大学大学院芸術文化専攻修了。
都市観察を起点とし、絵画や写真、イベントなどの手法によって表現を展開している。
ステートメント
本展示では、会場1階「The wall」で2024年以降の作品に加え、新作を展示する。
会場2階「A wall」では、現在の制作に至るまでに制作してきた架空の壁の作品を展示する。1階 The wall
2024年より、実在する壁を油彩のような視覚的再現ではなく、できるだけ同じ素材を用い、壁の表面上で起こったプロセスを辿りながら模写する作品に取り組んでいる。
本展示に出展している作品はすべて模写の元となった壁が実在する(または過去に実在した)。当然ながら、どこまで細部を追求しても実在の壁(以下オリジナル)と同じになることはない。それどころか、一致を目指して模写を進めるほど自分の手癖、判断、技術、妥協などによるズレが発生しオリジナルからどんどん乖離していく。
しかし制作を進めるにつれ、その発生したズレにこそ重要なものが含まれていることに気づいた。オリジナルに近づこうとするほど、隠したかったはずの自分が現れてしまう。当初はそのズレを失敗だと感じていたが、それは制作の中で露呈した私自身の痕跡だった。
同時に、模写はオリジナルを観察し続ける行為でもある。
オリジナルに触れ、細部まで観察し、読み解いていく繰り返しの中で、それまで街の風景の一部でしかなかった壁が、他のどの壁とも置き換えられない存在として立ち現れてくる。
本来誰にも注目されていない、誰も残そうとしていないオリジナルを、模写によって描き残す。模写を続けるうちに、街の風景の一部だった壁は、「この壁」へと変わっていった。私は壁をただ保存したいのではない。それならばそのまま、街から切り取って額縁に入れればいいだけのことだ。
長時間見続け、手を動かし、その対象と関係を結ぶこと。その往復の中で、それまで風景の一部でしかなかったものは「あの壁」となり、同時に私自身もまた、その壁との関係の中で露呈していく。そのようにしてしか記憶できないものがあるのではないかと考えている。2階 A wall
これまで私は、特定の壁を再現するのではなく、街で見てきた無数の壁の記憶をもとに、架空の壁を制作してきた。
それらは何もないところから生まれた訳ではない。街の中で目に留めたひび割れや塗装、汚れ、補修跡など、記憶の中で重なり合った風景から立ち上がった壁である。
制作を続けるうちに、私は「壁らしさ」ではなく、特定の場所の壁を作りたいと思うようになった。その転換点は2024年、住んでいたマンションが解体されるにあたり、屋上の「あの壁」を描き残したいと考えたのがきっかけだった。
2階フロアでは、その変化が始まる以前の作品を展示している。
会期:2026年8月21日(金)〜9月1日(火)
会場:アトリエ三月
時間:14:00〜20:00(最終日19:00まで)
休廊: 水・木曜
料金:入場無料
大阪市北区中崎西4-2-9
![thumbnail: 2025/8/1〜8/14:新村葉月[路上観察と絵画/「熱視線」主催]/松枝熙[アーティスト]](/assets/img/common/space_85x58.png)


