文明に精神を侵された人間の姿を見つめ続けた詩人・田村隆一の最晩年、3年間にわたって撮影を続けたフォトグラファー・山田愼二による田村の貴重なポートレイト群が、豊中のblackbird booksにて展示される。
本写真展は、これまで東京など5カ所で開催され、関西では初めての開催となる。
田村は1923年東京生まれ。1947年に、鮎川信夫、北村太郎らと詩誌『荒地』創刊、戦後の現代詩を牽引した。1962年に刊行された第2詩集『言葉のない世界』(高村光太郎賞受賞)は今なお戦後詩を代表する詩集と言われている。死の直前に刊行された『1999』に至るまで生涯にわたって詩作を続けたほか、評論、随筆、翻訳なども数多く手がけた。
1970年に東京から鎌倉へ転居。後半生を暮らした鎌倉をうたう詩やエッセイを厳選収録した『ぼくの鎌倉散歩』が2020年12月に出版社・港の人より刊行された。また第2詩集『言葉のない世界』が2021年4月に復刊され、詩人・田村への注目が高まっている。
会場では、詩集の刊行元である「港の人」の詩集フェアも同時開催。
言葉なんかおぼえるんじゃなかつた
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかつたか
あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ
あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかつたら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう「帰途」 『詩集 言葉のない世界』より
『ぼくの鎌倉散歩』『詩集 言葉のない世界』(港の人)刊行記念 山田愼二 写真展「詩人・田村隆一」
会期:2021年6月9日(水)~27日(日)
会場:blackbird books
時間:平日 10:00~17:00、土曜・祝日 10:00~18:00、日曜 10:00~17:45
※平日17:00以降は予約制(18:30まで)、名前と来店予定時間をメールまたは電話で連絡。定休日:月曜日、第3火曜日
問合:info@blackbirdbooks.jp 06-7173-9286
主催者より:ご来店予定のお客様は以下の感染対策にご協力ください。
・お連れ様を伴う場合は出来るだけ少人数でのご来店をお願い致します。
・店内での会話は出来るだけお控えください。
・マスクの着用、入り口でのアルコール消毒をお願い致します。
豊中市寺内2-12-1 緑地ハッピーハイツ1F