北浜は東横堀川沿いに位置するFOLK old book store。店の地下へ降りていくと、多彩なジャンルの新刊・古本にZINE、雑貨などがそこかしこに並び積まれ、訪れるたびにイラストレーターの展示やブックフェアなどが入れ替わりで開催されている（2021年には、絵本専門店「子どもの本屋ぽてと」も隣の敷地にオープンした）。店の1階はいつもスパイスのいい香りだ。平日昼に間借り営業する谷口カレーは、きりっと効いた異国的な風味に、日本の身近な食材や中華などのトーンが組み合わさり、意外ながらも馴染みを感じる味わいが楽しい。ひと足遅いと売り切れてしまうこともしばしばだ。

そんな両店が、2020年に10周年を迎えた。しかし、時期はコロナが感染拡大しはじめた頃。当時から、店を営むなかで関わりを築いてきたクリエイターやミュージシャン、ショップ、お客さんを招いたアニバーサリーイベントの開催を考えていたそうだが、事態を鑑みて見送ってきた。そして2023年4月8日（土）、3年越しに満を持して行われたのが、味園ユニバースを会場とした「BONUS TIME」。FOLK old book storeの吉村祥、谷口カレーの谷口智康両氏の、「今回の写真は絶対に慎亮さんがいい」という熱望を受け取った写真家の佐伯慎亮が、9時間超にわたるイベントを眼差した。

——「BONUS TIME」の由来を教えてください。

吉村：誰もが嬉しい“ボーナス”という響きを入れたくて。実際、コロナ禍を耐えた先のご褒美みたいな時間でした。

——3年越しに実現した10周年イベントですもんね。終えてみて、どうですか？

吉村：真剣かつ自由な先輩・同世代の人たちがたくさん集まってくれて、自分も頑張ろうと思いましたね。

——どんなことが印象に残ってます？

吉村：オオルタイチさんが演奏したあと、澄んだ空気に包まれた会場を、増田薫さんのDJがパーティー空間にぐるんと変えた瞬間。

——今後やりたいことを教えてください。

吉村：ここ2年くらいでお笑いを観に行く習慣ができたんですよ。なので、お笑いのステージも設けてみたいです。