本特集では、ドキュメンタリーとフィクションの関係やその境界について向き合いました。それは、「事実」「作為」「理解」というような言葉の定義や、それらに付随する葛藤の輪郭をなぞっていくような作業であり、あらためてドキュメンタリーとフィクションの境界というものがいかに流動的で、相互的関係にあるかを感じています。 人が食べるという行為をインタビューを通して観察・分析してきた独立人類学者の磯野真穂さんとの対談では、他者を理解することについて言葉を交わしました。また、現代フランス哲学、芸術学、映像論をフィールドに文筆業を行う福尾匠さん、同じく、映画や文芸を中心とした評論・文筆活動を行う五所純子さん、そして、劇団「ゆうめい」を主宰し、自身の体験を二次創作的に作品化する脚本&演出家・池田亮さんの寄稿では、立場の異なる三者の視点からドキュメンタリーとフィクションの地平の先になにを見るのかを言葉にしていただきました。 対岸の風景を可視化していくこと、まだ見ぬ世界を知覚すること、その先に結ばれた像が唯一絶対の真実から開放してくれることを信じて。そして、今日もわたしは石をなぞる。 小田香 Kaori Oda ー 1987年大阪生まれ。フィルムメーカー。2016年、タル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factoryを修了。第一長編作『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞受賞。2019年、『セノーテ』がロッテルダム国際映画祭などを巡回。2020年、第1回大島渚賞受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
Original Research
2021.06.05
#ARCHITECTURE#COLUMN#大阪市

ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心

makes no sense
文: makes no sense [会社員]

うだつのあがらない会社員、もとい古民家の“うだつ”をしばし眺めてしまう都市鑑賞癖のあるmakesと申します。何気ない都市部の住宅街もフォーカス次第で面白い発見があるものです。今回の「わたしの在野研究」は、私が都市徘徊中に気になっている「あるモノ」について書いてみようと思います。

ビルトイン地蔵尊。

聞き慣れない言葉だと思います。完全な造語です。ビルトイン【built-in】ーー造りつけやあらかじめ組み込まれている設備など建築や施工で使われている用語を借用しました。道端にあるべき延命地蔵尊など※が建物や外壁に組み込まれている様を見るにつけ、「これはすごい」と思わず(勢いだけで)、「ビルトイン地蔵尊」と名づけてしまいました。(※宗派・様式などは問わず、語呂の良さで「地蔵尊」としていますが、収納されている祠を総称して「ビルトイン地蔵尊」と呼んでいます)

説明よりもまずは写真を見てもらうほうが手っ取り早いと思います。

どうですか? この収納されっぷり。建物に組み込まれている聖地・聖域。大阪・京都にお住まいの方やよく訪れる方は、「あっ、アレか!」と膝を打つかもしれません。私は散歩の速度でも見逃してしまうレベルの収納された「ビルトイン地蔵尊」を見つけると、興奮しつつ撮影してしまいます。見事な収納物件は惚れ惚れします。

完全に外壁や建物に組み込まれた「ビルトイン地蔵尊」のほかにも、類例として建物の軒下に設置されている「敷地イン地蔵尊」、建物と建物の境界線上に組み込まれた「隙間イン地蔵尊」、コンクリートの壁(擁壁)に備えられた「地盤イン地蔵尊」、崖などを削り祀られた「岩盤イン地蔵尊」、木のうろに祀られている「神木イン地蔵尊」などがあります。

ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense
ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense

Twitter上で「#ビルトイン地蔵尊選手権」と検索していただけると、各アカウントそれぞれの目線による「ビルトイン地蔵尊」投稿が見れますので、ぜひご覧ください。ハイレベルな収納物件が投稿されています。

さて、なぜ、このような形態になったのでしょうか。いわゆる「軒切り」と呼ばれる、近世から近代にかけて大阪や京都などで行われた都市の(再)整備・整理と無関係ではないでしょう。

「軒切り」とは、道路上空に迫り出した町家の軒をセットバックさせるとともに、路上に置かれた残置物を一掃し路幅を元の状態に戻す、あるいは拡幅させる道路整理事業のこと。この都市整備事業により、道端にあった地蔵尊が敷地インに、あるいはビルトインにという聖地移動、お引っ越しが起こったのでしょう。一方、建物は、町家や長屋からマンションなどに更新されながらも「敷地イン地蔵尊」や「ビルトイン地蔵尊」として軒下や建物に取り込まれ、現在にも引き継がれていると思われます。

都市の発展・更新の歴史とも密接に関わりがあるため、詳細については更なる調査として、文献にあたったり、「ビルトイン地蔵尊」所有者への聞き取りを行ったりする必要があります。

ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense
ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense

最後に、大阪梅田にある「北向地蔵尊」を見てみましょう。

これは1966年〜1969年に行われた阪急梅田駅の拡張・再開発にて、現在地・阪急三番街地蔵横丁に移設されたものです。京阪神住まいの方々には馴染み深い風景ではありますが、どうですか?

ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense

ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense
ビルトイン地蔵尊、収納される信仰心
Photo: makes no sense

ターミナル駅の施設という巨大な視点で見ると……、見事に収納されているビルトイン物件に見えてきませんか? 「ビルトイン地蔵尊」は、聖地・聖域であり、都市の歴史に刻まれた年輪でもあると言えるかもしれません。

makes no sense

 it makes no sense at all.
イケフェス大阪(生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪)ボランティアNo.3。鉄窓花書房非常勤メンバー。Twitterでの #ビルトイン地蔵尊選手権 #かっこいい庁舎選手権 など。

 

Twitter
https://twitter.com/onmusiconlife?s=21

#ビルトイン地蔵尊選手権
https://twitter.com/onmusiconlife/status/1366163806846550016?s=21

イケフェス大阪(生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪)
https://ikenchiku.jp/

photo:REPORT|CON・CERT walking from +1art to +2
Must Reads
2022.01.21
REPORT|CON・CERT walking from +1art to +2
MORE
photo:REPORT|スキンケアブランド「D.W.M.」リリース
Must Reads
2022.01.13
REPORT|スキンケアブランド「D.W.M.」リリース
MORE
photo:INTERVIEW:hyslom/ヒスロム|この質感のまま生きていく 1/3
Must Reads
2021.12.27
INTERVIEW:hyslom/ヒスロム|この質感のまま生きていく 1/3
MORE
photo:REPORT|ヘアサロン「tuuli」オープン
Must Reads
2021.12.24
REPORT|ヘアサロン「tuuli」オープン
MORE
photo:REPORT|ニットキャップシアター『ヒラカタ・ノート』
Must Reads
2021.12.14
REPORT|ニットキャップシアター『ヒラカタ・ノート』
MORE
おおさか創造千島財団
#『有頂天家族 二代目の帰朝』#+1 art#+1art#140B#1970年日本万国博覧会#2025年日本万国博覧会#25時#71labo#a:)/2021#ABCホール#ACoA 2021#AiR#Alffo Records#ALNLM#ANIMA#ANTIBODIES Collective#ANTORA#AOKI LUCAS#architecture#art#ART OSAKA#artgallery opaltimes#aryy#AsahiNa#Ascalypso#ATAKA#BABY-Q#BBF#BEPPU PROJECT#Birdfriend#blackbird books#Blend Studio#BOOGIE MAN#Buylocal#Calo Bookshop & Cafe#CÀRRY HOUSE#CAS#Casper Sejersen#chignitta space#CHOVE CHUVA#CIRCUS OSAKA#Club Daphnia#Club Stomp#coeur ya.#Compufunk#CONPASS#contact Gonzo#CONTENASTORE#cumonos#D.W.M.#DELI#delta#DEN#dieci#DJ HONEYPANTS#DJ カレー#DJ紫式部#DMOARTS#dot architects#dracom#EDANE#edition.nord#EIKO#enoco#excube#FIGYA#FIRMUM#FM COCOLO#FM802#FOLK old book store#FREITAG#fuk 48#FUKUGAN GALLERY#futatsukukuri#G&S 根雨#Galerie de RIVIERE#gallery 176#gallery nomart#GALLERY wks.#gallery yolcha#gallery,あるゐは#GAMOYON Gallery#gekilin.#gekillin#GLAN FABRIQUE#Gqom#GQOM ÇA DU MODE#GQOM ÇA DU MODE Vol. 2#graf#graf awa#GULIGULI#hanamikoji#HEAVEN#HENE#HEP FIVE#HEP HALL#hitoto#HMP Theater Company#HOPKEN#Hotel Noum OSAKA#howse#hyslom#I SEE ALL#iaku#in→dependent theatre#iTohen#JAM#Jap Kasai#JIKAN<space>#JITSUZAISEI#KAZE ART PLANNING#keshik.jp#kioku手芸館「たんす」#KITAHAMA N Gallery#KUNIO TERAMOTO aka MOPPY#laji#LE PRIEURÉ#LIGHT YEARS OSAKA#Lil Soft Tennis#Live Bar FANDANGO#LUCUA 1100#LUCUA osaka#LVDB BOOKS#M@M#MALL#MASAGON PARK#MASK#mém#MI Gallery#MMM#Monaural mini plug#MONKEYKING420#MOONSLANG#MUESUM#music#Namba Bears#neuthings#New Life Collection#NEW PURE +#Nii Fine Arts#ninkipen!#NISHIGUCHI KUTSUSHITA STORE OSAKA#NO CONTROL AIR#NOON + CAFE#NOTA_SHOP#OLEO#OLGA-goosecandle-#ondo tosabori#opal time time#opaltimes#Open Storage#Oギャラリーeyes#Page Gallery#photo gallery Sai#PINE BROOKLYN#PLANET+1#PLANT#POL#PONY PONY HUNGRY#Pulp#RAINBOW HOUSE#RAURAUJI#RICH & BUSY#Riva Christophe#ROCKET#room 209 by silta#RY0N4#SAA#SAKAINOMA café熊#SEWING TABLE COFFEE SO Lei#SHELF#SHOKKI#silta#SkiiMa#SkiiMa Gallery#SkiiMa SHINSAIBASHI#SkiiMa Talk#so objects#SOCIALDIA#socket#SOCORE FACTORY#Soi48#solaris#SpinniNG MiLL#ssud#studio J#SUNABAギャラリー#Super Studio Kitakagaya#Table#TACO studio & office#Teruhiro Yanagihara studio#TEZUKAYAMA GALLERY#The Blend Apartments#The Blend Inn#THE BOLY OSAKA#The Branch#THE STORIES#The Third Gallery Aya#the three konohana#THOUS#Tobira Records#toe#toi books#TOPOLOGY#TRA-TRAVEL#tuuli#tuuli FARM#Tyrni#UMA/design farm#umao#umeda TRAD#VOYAGE KIDS#wad#WEBデザイン#YARD Coffee & Craft Chocolate#YCAM#YEANAY#YOD Gallery#Yoshiaki Inoue Gallery#Yoshiaki lnoue Gallery#Yoshimi Arts#Young-G#YPY#YUGO.#ZOO ANIMALS#アートエリアB1#アートコートギャラリー#アサノヤブックス#アシタノシカク#アップリンク京都#アトリエS-pace#アトリエ三月#あべのま#イチノジュウニのヨン#イロリムラ#インディペンデントシアター#ウイングフィールド#うだつ上がる#うめきたシップホール#エスパス ルイ・ヴィトン大阪#エディション・ノルト#オソブランコ#オル太#カール・ハンセン&サン#カイ・T・エリクソン#カジワラトシオ#カペイシャス#キッチンにて#キッチンにて2#キヤノンギャラリー S#ギャラリー オソブランコ#ギャラリー・ソラリス#ギャラリーノマル#ギャラリーほそかわ#グランフロント大阪#クリエイティブセンター大阪#ケンジルビエン#コーポ北加賀屋#ココルーム#ごまのはえ#コンタクト・ゴンゾ#サイノツノ#シーサイドスタジオCASO#シアターセブン#シカク#シネ・ヌーヴォ#シネ・ヌーヴォX#シネ・リーブル梅田#ジャグリング・ユニット・フラトレス#スズキナオ#スターバックス LINKSUMEDA#スタンダードブックストア#スタンド・ブックス#すみのえアート・ビート#そこにすべてがあった#そこにすべてがあった バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学#ダニエル・アビー#タラウマラ#テアトル梅田#ディエゴ・テオ#デカメロン#デザイン#デラハジリ#ときめきのテレパシー#どく社#ナイスショップスー#なべたん#ニットキャップシアター#ノートギャラリー#のせでん#のせでんアートライン#バイローカル#ハタノワタル#ビッグ・アイ#ビンビール#ピンポン食堂#フタツククリ#フライターグ#フラッグスタジオ#ブルームギャラリー#プロダクトデザイン#ペーパーアイテム#ペーパーボイス大阪#ペフ#まがり書房#マヅラ#ままごと#マリオ・ヴァーバ#マンションみどり#ムジカジャポニカ#モトタバコヤ#ももちの世界#モモモグラ#モロ師岡#リヴァ・クリストフ#ルチオ・フルチ#レトロ印刷JAM#ロフトプラスワンウエスト#万博記念公園#三木学#上林翼#中崎町#中田由美#丼池繊維会館#二艘木洋行#井上亜美#井上嘉和#井上明彦#京都シネマ#人形劇#人形劇団クラルテ#仲村健太郎#依藤貴大#俚謡山脈#光#八六八ビル#出町座#前田健治#前田文化#劇団kondaba#劇団壱劇屋#劇団態変#千鳥文化#千鳥温泉#升田学#占星術#原久子#原田祐馬#原田裕規#古地図でたどる大阪24区の履歴書#吉本有輝子(真昼)#吉行良平#吉開菜央#吹田市文化会館(メイシアター)#味園ユニバース#和泉侃#喫茶アオツキ#喫茶路地#国立国際美術館#国立民族学博物館#坂口恭平#堀場英史#塚原悠也#夏のホラー秘宝まつり#夕書房#多賀結いの森#夜長堂#大成紙器製作所#大田和司#大竹央祐#大谷賢治郎#大門大朗#大阪ガスビル#大阪くらしの今昔館#大阪中之島美術館#大阪大学#大阪市中央公会堂#大阪市立美術館#大阪府建築士会#大阪府立中央図書館#大阪建築コンクール#大阪日本民芸館#大阪高島屋#大阪髙島屋#孤独の練習#宝龍会#宮前良平#宮田直人#小松理虔#山下壮起#山城大督#山本理恵子#山本製菓#岡啓輔#岡部太郎#布施琳太郎#平山昌尚#平野愛#平野舞#御殿山生涯学習美術センター#心の傷を癒すということ#心斎橋PARCO#志賀理江子#拉黒子・達立夫#文房具#日本キリスト教団阿倍野教会#日本橋の家#日野浩志郎#日野浩志郎(YPY)#暮chic#暮らし#暮らしと民藝#服部滋樹#朝野ペコ#本の人#本渡章#杉田雷麟#東京#東大阪市文化創造館#東大阪市民美術センター#東影智裕#東野祥子#東風#松本直也#松永理央#松見拓也#柳原照弘#柴幸男#柴田英昭#桜川#梅田Lateral#梅田クラブクアトロ#梅田シャングリラ#梅田ロフト#梅田哲也#森栄喜#森見登美彦#植木歩生子#植松琢麿#横山拓也#檜山真有#民藝#水野勝仁#沢村さくら#泉州音頭#法華寺#浄土宗應典院#浪曲#淀屋橋見本帖#淀川テクニック#深澤孝史#渡邉朋也#渡部睦子#滋賀県立美術館#演劇#濱口竜介#生駒山#田中輝美#白波瀬達也#真山隼人#石原菜々子#神戸映画資料館#福岡市美術館#秋山ブク#稲井亮太#空族#竹内紘三#第8回 夏のホラー秘宝まつり 2021#第七藝術劇場#笹久保伸#紙器具#維新派#美術研究所#船場エクセルビル#芝野健太#花見小路#茨木市立ギャラリー#菊池航#萩原健#藤井泰玄#藤本玲奈#藤田紗衣#藤谷商店#衝突と恍惚#西淀川アートターミナル#角木正樹#谷口カレー#豊中市立市民ギャラリー#豊中市立文化芸術センター#豊田道倫#豊田道倫 & His Band#赤松美佐紀#赤鹿麻耶#辺口芳典#近藤組#透視図#酒航太#里づと#野原万里絵#野田#金子仁司#金氏徹平#金滿里#釜ヶ崎芸術大学#長尾圭#阪急うめだ本店#阪神梅田本店#阿倍野区民センター#障害者運動#難波ベアーズ#青い芝の会#音ビル#音凪#香港インディペンデント映画祭#高原耕平#高橋利明#髙島一精