鶴見区の3階建の民家を改修し、美術作家の西嶋みゆきとしまだそうが作品制作の拠点として使用している建物「cumonos<クモノス>」では、「風景」をつくる作家をフィーチャーした連続企画「風景の」シリーズを展開している。第2弾は「移調のみとおし」と題して、独自のロジックとシステムにより風景の再解釈、再構築を試みる3人の作家を紹介する。
奈良田晃治は、自身の取材に基づく風景を画面上のわずかな手掛かりを探りながら細かな筆致によりに描きだす。時に刷毛目や絵具のムラなど自身の絵画行為をなぞるように、繰り返し重ねられる筆致が心地よいノイズのように風景を浮かび上がらせる。
わにぶちみきは、一貫して「自己」と「世界」との境界を探るように多様な手法により作品を発表してきた。身近な風景から取り出された色彩の再現という単一の行為の繰り返しは、鑑賞者と世界の境界をゆるやかに繋ぐ。
長谷川一郎は、世界の成り立ちに関わるパターンを探すかのように、同じ行為を繰り返すことで風景を描き続けてきた。その視点は常に人と自然の関係を対比させながら、その境界を作り出す人そのもに向けられている。
「移調」は音楽用語で、楽曲の旋律や音程関係を変えずに、音域を高く、または低く移し変えること。3人の作家の表現により風景がどのように変容するのかに注目したい。
cumonos 連続企画「風景のvol.2」
移調のみとおし
奈良田晃治・長谷川一郎・わにぶちみき会期:2021年11月13日(土)〜28日(日)
会場:クモノス(cumonos)2F cumonoma
時間:14:00〜19:00
休廊:火・水・木曜日 *11月23日(祝・火)は営業
料金:入場無料
同時開催
小西佑奈 個展「みちくさ」
会場:クモノス(cumonos)3F cumonoue / uwanosora
大阪市鶴見区今津南3-1-14