アトリエ三月では前野めり個展「a day」を開催します。
アトリエ三月では2020年2月の個展「マエノーランド」以来2年ぶりの個展開催となります。刺繍のアートワークを中心に、ドローイングや言葉、オンラインでの発信など、アートや刺繍という枠に留まらず
さまざまな媒体で自身を表現し、制作、活動を作品を続けています。
前回の個展がちょうど2020年2月のコロナ直前から今回ようやくコロナ禍が収まり始めたタイミングでの開催です。
1階は2021年東京で開催された「日々是淡々」と題された個展をもとにした作品を中心とした刺繍作品。
2階は2021年に参加した六甲ミーツアートで発表した作品「days」を形を変えて展示しています。
これらをまとめたのが今回の個展「a day」となります。六甲ではドーム型のガーデンイグルー(garden igloo)にフェルトを貼り付け刺繍を施した作品でした。
刺繍作品は絵を描くようにそうそう早く描くことのできない特に時間と密接に関係した技法であると言えます。
イグルー・iglooとはイヌイット語のiglu(=house)。表面的にはフェルトに黒い糸が施されていて、その描かれている何かを見ようとしますが、何に入ることができ、ドームの中にはその膨大な刺繍跡を垣間見ることができました。
前回の個展がマエノーランド=前野めりの自宅や部屋を再現するかのような展示だったこともそうですが今回イグルーを再構築した作品を見ても前野にとって”家=居場所”や”時間=日常”がとても大きなテーマになっているように感じます。それはこの2年間の前野のプライベートな出来事も全て孕んでいるのでしょう。今回イグルーを解体し再構築した空間は六甲の土や埃をつけたまま、普段小作品で見せる具象的なイメージや幾何学的なイメージさえも消滅し、そこにはコロナによって揺れ動く言葉にならない日々をそのまま時間を縫うようにして作られています。
前野が時間を縫うようにして制作した膨大な時間の中に浸りその時間をなぞることで世界中の人が経験したうちの一人の表現者の移ろいを、この2年間の時間の断片として心に留めておくことが必要なのかもしれません。–
黒糸の刺繍糸を一本取りして、白地のフェルトに刺繍。
主に下書きをせずフリーハンドで刺繍するスタイルで制作。【略歴】
1981年 滋賀県生まれ
2004年 京都精華大学テキスタイル専攻を卒業
在学中、イラストと詩による本の制作を始める
2015年 刺繍による制作を開始(Webサイトより)
会期:2022年4月29日(金)〜5月10日(火)
会場:アトリエ三月
時間:平日15:00〜19:00 土・日・祝13:00-19:00
休廊:水・木曜日
大阪市北区中崎西4-2-9