日常を多角的に観察し、作品に昇華するフォトグラファー・室岡小百合の個展「Sayuri Murooka solo exhibition」が、2022年4月29日(金)より兵庫県姫路市的形のギャラリー・M1997にて開催される。
室岡はM1997が取り組むアーティスト・イン・レジデンスのプロジェクトに参加し、およそ1年前に的形を訪問。同プロジェクトには土地に特化したテーマはなかったそうだが、彼女の視点は自然とこの地域に結びついていった。その過程のなかで模索した制作プロセスに、ドローンを用いた撮影技法がある。鳥の目に自身の気配を移すことで湧き上がる記憶や個人的な出来事を重ねることは、写真という平面のメディアを生業とする室岡にとって、どれだけ多角的に、視野を広く物事をとらえられるかという挑戦だったという。今回の展示では、そうした滞在中の軌跡が写真表現となって立ち上がる。
なお、本展のインスタレーション空間構成は、大阪を拠点に活動する加藤正基が手がける。室岡の作品から意思を汲み取り、場所のもつエネルギーと人、作品との交錯を思索した構成は、鑑賞者にもこの地を追体験するような感覚をもたらすだろう。
みえていない物事を知る、という行為は日常生活の中で「一瞬のこよなき浮揚」を与えてくれる。鳥の目を通して撮影することも、想像力によって「もし」という世界を作りだし、それを日常に上書きすることが彼女が生活を存続させることのできるエネルギー源となっています。的形での生活の繰り返しの中、訪ねてきた彼女の親友が、彼女との会話をもとに綴った言葉を送りました。
──── みえないことがおおくあるせかいで
なにかをおもい
あたらしくうまれてくるものや
あるいはふとしたしゅんかんに
てをのばすととどくものがある かたちはないけれど
たしかにそこに在る
なんでもないようなくりかえしのなかに
たいせつなことはしずかにひそんでいた
みえないなかに呼吸がきこえる
みえないなかにこころがある
そのことにわたしはうつくしさをかんじる
(words,momo)
室岡 小百合 Sayuri Murooka
街中で起こる小さな瞬間を様々な角度から観察し、色、匂い、感情や空気を読むように場を切り取り、日常からインスピレーションを得ながら創作活動を行う。現在、東京を拠点に活動中。
Sayuri Murooka solo exhibition
期間:2022年4月29日 (金)~ 5月22日(日)
時間:11:30〜17:00
定休:月・火・水曜(5月2日[月]~ 4日[水] はオープン予定)
会場: M1997
インスタレーション空間構成:加藤 正基
インスタレーション作品協力: NISSHA
空間施工: 中川ケミカル・加藤 正基
キュレーター :井上 有紀/M1997Instagram(M1997)
M1997
兵庫県姫路市的形町的形1997