2020年5月に創刊した雑誌『NEUTRAL COLORS』の4号刊行を記念した展示「NEUTRAL COLORSの言葉をポストイットする」が、2023年4月28日(金)から豊中のblackbird booksで開催される。
『NEUTRAL COLORS』は、編集者の加藤直徳が主宰する出版社、{NC}ニュー・カラーが発行する雑誌だ。本文の印刷にはリソグラフやシルクスクリーンなども使用され、誌面は東京・荻窪にある自社の印刷工房で刷られている。blackbird booksのWebサイトにアップされた、刷了紙が大量に積まれ、綴じられるのを待っている光景が印象的だ。手作業の工程を意図的に入れるということを課すことによって、現代に紙の雑誌を出す意味を探る本づくりを行っている。
4号の特集は「仕事」。表紙には「雑誌を仕事にすると決めた運河の畔」というタイトルとともに、取材先である、アムステルダムでアートブックを出版するデザイナー2人と、彼らの事務所に併設されたスペースの名称「ENTER ENTER」の文字が並ぶ。
「仕事とはなにか?」「働く意味は?」という問いからスタートした今号には、編集者から不動産業へ転身した人、蟻が住むための植物を育て出荷する人、落選し続ける政治家ら、多種多様な仕事に従事する人々が登場する。聞き取りや本人の日記、エッセイをはじめとしたさまざまな筆致から、「この仕事でどうやってごはんを食べていけるのだろう」とか、その仕事の魅力は何かとか、どのように暮らすことや生きることと関わっているのかなどに迫る内容だ。工房で生じた印刷のヤレ紙からつくったという美濃和紙が本誌に挟まれていたり、校正者の牟田都子による校正刷りを再現したりと、時にはその仕事自体を体感できるような紙面構成になっている。(目次は『NEUTRAL COLORS』Webサイトを参照)
展示では、工房で刷られたリソグラフ印刷ページのテスト刷りとポストイットを用いて、4号の特集のなかの「仕事」にまつわる言葉たちを、blackbird booksの壁面に再構築する。訪れた人も、「仕事について。生きることについて」の言葉をポストイットできるということで、壁面という平面に半ば地層的に立ち上がる「雑誌」を共同でつくっていく試みとなる。本展に参加することで、仕事にとどまらない、自らの来し方についても振り返るきっかけとなりそうだ。
なお、関西での刊行記念イベントはほかにも盛りだくさん(大阪では4/29[土]にスタンダードブックストアにてトークも開催。詳細はニュー・カラーのnoteを参照)。あわせて注目してほしい。
日時:2023年4月28日(金)~5月21日(日)
開店時間:10:00~19:00
定休日: 月曜、第3火曜定休
料金:入場無料
問合:06-7173-9286
豊中市寺内2-12-1
緑地ハッピーハイツ1F