京都を拠点に活動する劇団「サファリ・P」。パフォーマー(俳優・ダンサー)、技術スタッフ(照明・音響)、演出部から構成されており、身体と最小限の舞台美術、最小限のテキストのみを使用して、原作世界の要素を立ち上げるスタイルが特徴的だ。メンバーは芦谷康介、達矢、佐々木ヤス子、池辺茜、森永恭代、山口茜の6名。
同劇団の第9回公演『透き間』が愛知と大阪で行われ、大阪では日本橋のin→dependent theatre 2ndで上演される。
本作品は、アルバニアを代表する作家、イスマイル・カダレの小説『砕かれた四月』を下敷きにしたもの。サファリ・Pは2019年からこの作品に取り組んでおり、2022年に第8回公演として初演された。今回は、新たな切り口で脚本・演出が練り直され、初演から生まれ変わったリクリエーション版での上演となる。
今回の作品のモチーフはヒップホップです。劣悪な環境で育った若者たちの間で発祥したヒップホップは、暴力ではなく表現で勝ち負けをつけようとするものです。世界では実際に今も戦争が起き、多くの人が暴力を振るわれています。同じ地球に生きる私たちも、大なり小なり影響を受けているし、実際に多くの人が、身体的にも精神的にも、他者を傷つけることで自らの主張をせざるを得ない状況に追い込まれています。いつの時代も、劣悪な環境に置かれると、暴力という手段に出てしまう人間の本性を、なんとか表現に逃せないか。そういう祈りを作品に込めました。
ちなみに下敷きとなった小説『砕かれた四月』(イスマイル・カダレ)には、3年を費やしてきました。これまでのどの作品とも違う、完全なる新作ではありますが、これまで作った3作品なくしてはたどり着けない境地に至った感覚があります。
アルバニアに今も残る復讐の掟とそれにまつわる人間模様から、本質的な課題を取り出し、現代の私たちに手触りのある世界を立ち上げます。
上演台本・演出 山口茜
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あらすじ
母に遊びを禁じられて育ったネリネは、透き間風の吹きすさぶ荒涼とした心を隠して生きてきた。有名な小説家の恋人の座を得た彼女は、とある“しきたり”に縛られた山岳地帯への取材旅行に同伴する。山の権力者たちはネリネの正体を本能的に察して恐れ、排除しようと躍起になるが、その抑圧をバネに次々に山人たちの心を掌握し、しきたりをも操る座を手に入れるネリネ。しかし彼女がそこで観たものは、彼女自身も気がついていなかった原風景だった――。
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日程:2023年5月20日(土)~22日(月)
会場:in→dependent theatre 2nd
時間:12:00~、17:00~[5月20日(土)、21日(日)]/13:00~[22日(月)]
上演台本・演出:山口茜
作曲:増田真結
出演:芦谷康介、佐々木ヤス子、達矢(以上 サファリ・P)、F.ジャパン(劇団衛星)、森裕子(Monochrome Circus)、山田蟲男(突劇金魚)料金:一般 3,800円、30歳以下 2,500円、18歳以下 1,000円
※5月21日、22日はポータブル字幕機の貸出サービスあり。詳細は劇団Webサイトにて。
問合:合同会社stamp 03-4213-4290 seisaku@stamp-llc.com
大阪市浪速区日本橋4-9-5