滋賀県大津市のアーティスト共同スタジオ・山中suplexの別棟として期間限定で運営されている、西大橋の「MINE」。このたび、若手キュレーターに機会や時間を提供する「キュレータープログラム」がスタートし、第1弾としてインディペンデントキュレーターの池田佳穂による企画「オープンパーク MINE : ストリート/どう遊ぶ?」が開催される。
池田は、主にインドネシア各地で展覧会やワークショップ等を現地作家と共同開催してきた。展覧会・パフォーミングアーツ・教育プログラムなどを複合した横断的なキュレーションに関心を持っており、今回の企画も展示とワークショップやミニライブ、パフォーマンスなど複数の要素を組み合わせたものとなる。
協働するのは、ダンスを起点としてさまざまな活動を繰り広げるアーティスト・Aokidと、都市・地域計画学研究者の清山陽平。MINEの前の公園まで取り込むというダイナミックな展開に期待が高まる。
キュレーターテキスト
「オープンパーク MINE:ストリート/どう遊ぶ?」では、アーティストのAokidと都市・地域計画学研究者の清山陽平が参加し、展覧会を中心にパフォーマンスやワークショップなどを展開します。異なる領域の2人ですが、Aokidは身体性を強調しながら、清山は建築的・歴史的な側面から、都市の風景と人々の関係性に焦点を当て活動しています。
本展は企画段階から2人と対話を重ね、水平的なキュレーションのもと、有機的な体制で進められました。会場のMINEは、かつて住居として利用されていた雰囲気が残るプロジェクトスペースで、大きなリビングと展示室が共在する個性的な空間。そしてMINE前には公道と公園があり、私的な建物と公共の空間が隣接したコントラストのある立地です。さらに時代を遡ると、江戸期は遊郭が置かれた城下町の周縁地として、城下町内外の多様な人々が行き来していた歴史があります。
この様々な性質の境界線が複合したロケーションに、本企画では「ストリート」という言葉を重ねました。本来は街路を意味する単語ですが、今回はあらゆる条件の場でもユニークな発想で可能性を広げる「ストリートで活動する表現者の視座と即興性」を指します。遊び場に見立てた展示室で、目の前にある公園と共鳴しながら、Aokidと清山がMINEにまつわる「境界線」と「ストリート」を各自かけ合わせて表現します。彼らの試みは、私たちの思考と身体に遊び心ある刺激を与え、日常のストリートな実践を誘発するかもしれません。
池田佳穂(本展キュレーター)
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Aokid
ブレイクダンスをルーツに持ち東京造形大学在学中よりダンスにおけるインプロビゼーションを起点とし、言葉や音楽、ドローイング、イベントといった方法とその手法を拡張して舞台や紙上、あるいは都市へとスケールを変形させながら活動を展開する。 「Aokid city」(2012年−)、「どうぶつえん」(2016年−)、「ストリートリバー&ビール」(2019年−)などのプロジェクトを展開。主な実績として、第12回「1_WALL」グラフィックグランプリ受賞、2016年ヨコハマダンスコレクションコンペティション審査員賞受賞。ソロダンス公演に「地球自由!」(STスポット、2019年)、個展に「おもいつきと軽い月」(芸宿、2019年)など。参加グループ展に「STAYTUNE/D」(ギャラリー無量、2019年)、Chim↑Pom「にんげんレストラン」(歌舞伎町ブックセンター、2018年)などがある。清山 陽平
都市・地域計画学研究者。遍在する現代風景に特徴(ローカリティ)を見いだす探究を、研究や実践を通して行う。具体的には、主には近代の非計画市街地において、剥がされた看板や取り残された空地といった何気ない状態を仔細な来歴の跡と見ることで、一見雑然と映る庶民地の真正評価・創造へ向けた理論構築を試みる。京都大学大学院 工学研究科 建築学専攻 居住空間学講座 助教。池田 佳穂
キュレーター。2016 年より東・東南アジアを中心に、土着文化や社会情勢から発展したコレクティブとDIYカルチャーの調査を独自に始める。主にインドネシア各地で展覧会やワークショップ等を現地作家と共同開催した。近年ではテオム・チェン個展「ナガヤ・フィジックス」(INTA-NET KYOTO、2021年)を企画、食にまつわるオープンラボ「レシピライブラリー」(Rumah Budaya Sikukeluang/INTA-NET KYOTO同時開催、2022年)をインドネシアと共同企画。展覧会・パフォーミングアーツ・教育プログラムなどを複合した横断的なキュレーションに関心をもつ。都内の私立美術館でアシスタントとして経験を積み、2023年より独立。仲谷 萌(パフォーマンス出演)
1989年大阪府交野市生まれ。東住吉高等学校芸能文化科にて上方伝統芸能を学ぶ。京都造形芸術大学舞台芸術コースにて演技やダンスを学ぶ。卒業後フリーの役者を経て、京都の劇団ニットキャップシアターに所属。個人でのパフォーマンス活動や子ども向けの工作ワークショップなどもしている。素人の乱残党ラジオ(関連イベント登壇)
東京・高円寺を拠点にリサイクルショップやBAR、ゲストハウスなどの店舗群を展開しながら、近年はアジア圏地下文化との交流をメインに活動。隙を見てお上に楯突く反乱を起こす謎の一党・素人の乱の残党が発信するFMラジオ。
キュレータープログラムvol.1
「オープンパーク MINE : ストリート/どう遊ぶ?」会期:2023年5月20日(土)〜27日(土)
会場:山中suplexの別棟「MINE」4階・5階
時間:13:00〜19:00
料金:入場無料
関連企画(参加費無料、事前予約不要)
ワークショップ「もう一回公園で遊ぶ(作る、スタディする)!」
日時:5月20日(土) 15:00〜18:00
場所:新町南公園(大阪市西区新町2丁目6)
リーダー:Aokid
※小雨決行、雨天時は山中suplexの別棟「MINE」4階・5階で開催トーク+ミニライブ
日時:5月20日(土) 19:00〜21:00
場所:山中suplexの別棟「MINE」4階
登壇:Aokid、清山陽平、池田佳穂
モデレーター:小宮太郎パフォーマンス「やっほい、大阪!」
日時:5月21日(日) 18:00〜
場所:山中suplexの別棟「MINE」4階・5階、新町南公園
アーティスト:Aokid
※小雨決行、雨天時は山中suplexの別棟「MINE」4階・5階で開催パフォーマンス「はたをたてる」
日時:5月22日(月) 14:00〜(30分程度)
場所:山中suplexの別棟「MINE」
アーティスト:仲谷萌素人の乱残党ラジオ公開収録
日時:5月24日(水) 19:30〜21:30
場所:山中suplexの別棟「MINE」
登壇:松本哉、松本ルキツラ、池田佳穂1日居酒屋「池田BAR」
日時:5月27日(土) 15:00〜20:00
店主:池田佳穂
大阪市西区新町2-9-4
NANEI 新町 bld. GALLERY 02 街区