滋賀県大津市のアーティスト共同スタジオ・山中suplexが、2022年12月10日より期間限定の別棟「MINE(みね)」の運用を、大阪市西区にて開始する。
空き家や空ビルなどの不動産物件をクリエイターとともに活用するNANEI ART PROJECT(NANEI株式会社が主催、ディレクションは高見澤芸術計画)の一環。
山中suplexは2014年に設立。京都と滋賀の県境にある比叡山に位置しており、樹脂、金属加工、石彫や、木工などの立体表現や、屋外での大規模な作品制作を実現することが可能だ。個人制作だけに限らず山中suplexとしても、イベント、展覧会、ワークショップなどを企画・実施している。2022年10月現在のメンバーは12名。
別棟「MINE」は、イベント開始から契約終了までの約1年間をプロジェクトの期間として、山中suplexが長期的なスペースの運用を行い、メンバー個々のアイデアを実現していく。
大阪をはじめ国内外から多様なクリエイターを招聘し、制作した作品が残っていくことで少しずつ部屋の様相が変化していったり、部屋ごとに企画展や演劇パフォーマンス、飲食のイベントなど様々なコンテンツを実施することで、ジャンルレスに人々が滞在し、新しい繋がりを作ることのできる空間をつくっていく計画だ。最後の1ヶ月間は、1年をかけて作っていったスペースを解体しながら、滞在制作で残された作品や調度品などを販売するイベントなども予定している。
こうした取り組みにより、これまで休眠状態だった空き家が新たな文化発信の基点となり、地域の交流の場として機能し、地域社会の中から文化を創造していく試みを拡げていくことを目指す。
「MINE」最初のイベントとして、スペースのお披露目紹介を兼ねた展覧会「OPEN HOUSE」 を開催。人が居住していた雰囲気を残しつつリフォームされた空間の各所に、山中suplexメンバーをはじめとしたアーティストの作品を配置する。
キュレーションステートメント
このプロジェクトの名称は、拠点となる建物の旧名称が「峯ビル」というマンションビルだったことに由来します。
峯(みね)という言葉には、「山のいただき」「高い山」などの意味があります。
私たちのスタジオ名称である山中suplexと、この「峯ビル」の言葉の響きから、山の中から峯(みね)へと登っていったりするさまを感じました。旧峯ビルは、かつては大家さんが4・5階に住みながら、3階では借家として様々な人が暮らしていました。そんな人々のプライベートな空間として存在していた旧峯ビルは、美術を見るためのホワイトキューブのあるギャラリーなどではなく、とても個性的なスペースです。
このスペースでの運営方法を山中suplexメンバーで多くの時間話し合いました。皆がそれぞれにやりたいことがあり、個性的で面白いアイデアが飛び交いました。しかし個々の意見を一つにまとめ上げようとすると、それぞれの面白さが薄れていき、「山中suplex」としてのアイデアは自分たちが本当にやりたいことだったのか疑問を持ち始めます。
いろいろなアイデアがあり、1つにまとめるかどうか悩んでいたなかで、「一つのアイデアに集約するよりも、個々のアーティストの「私のアイデア」をひとつずつ実現していく場所にすることができるのではないか」と思いつきました。
かつて峯ビルと呼ばれていた場所の「みね」をアルファベットにして「mine=私の」ビルとして、さまざまな「私の部屋」が重なり合うことで、新たな場所「MINE」は完成していきます。
山中suplex/Yamanaka Suplex
会期:2022年12月10日(土)〜18日(日)(土・日曜のみオープン)
会場:MINE
時間 : 12:00〜19:00
参加アーティスト:石黒健一、小笠原 周、勝木杏吏、木村 舜、小宮太郎、坂本森海、本田大起、 前谷 開、村上美樹、若林 亮
料金:入場無料
大阪市西区新町2-9-4
NANEI 新町 bld. GALLERY 02 街区