大阪の若手演劇ユニット・うさぎの喘ギの作品『いみいみ』が、ウイングフィールドで2023年8月26日(土)と27日(日)に再演される。
『いみいみ』の再演は「ビルドアップ公演」と銘打たれ、2021年10月の第1回目では女性2名のダブルキャストによる一人芝居であったのが、今回は宇津木千穂、三田村啓示の2名による男女のバージョンとなる。
2023年7月29日(土)には、本公演に先駆けてワークインプログレスも開催された。筆者が参加して感じたのは、宇津木と三田村のバージョンの大きな隔たりである。『いみいみ』の劇中では、発せられる言葉が「私 は 私」「女 は 女」などとすべて同語反復(トートロジー)になっているのだが、誰がどのように述べるかでその見え方が大きく異なるのを興味深く思った。
宇津木のバージョンにおいては、これは宇津木の実体験に基づくものなのか、と錯覚するような私小説的な身体性が存在した。三田村のバージョンでは、男性としてどのように女性を演じるのか、という問題への追求があり、たとえば「私は女 は 私は女」といった言葉が男性の身体から発せられることに対して、筆者自身が違和感を覚えること、そこから自らのジェンダーに対する固定観念と向き合うことを余儀なくされる体験だった。
トートロジーは、うさぎの喘ギの泉宗良の言葉を借りれば、「意味をなさない」行為であるのかもしれないが、同じ言葉を繰り返し発することによって、はじめて、深い絶望や諦念が立ち上がってくるのを今回のワークインプログレスで目の当たりにした。トートロジーによって複数の解釈が生成され、さらに、共感されるということと、理解し得ないということがどのように現れるかを探るビルドアップ公演。両バージョンを観劇することで見えてくる世界があるだろう。
日時:
2023年
8月26日(土)12:00【C】、17:00【A】
8月27日(日) 12:00【B】、16:00【C】【A】:三田村啓示バージョン・60分
【B】:宇津木千穂バージョン・60分
【C】:【A】【B】連続上演・休憩含む130分※受付開始・開場は開演の30分前
※自由席
※未就学児入場不可会場:ウイングフィールド
料金:一般【C】4,000円、一般【A】【B】2,500円
※学生は各1,000円割引(要学生証)チケット取扱:
前日清算 https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02up75n1y6631.html
当日清算 https://www.quartet-online.net/ticket/buildup2作:泉宗良
出演:宇津木千穂・三田村啓示
演出:うさぎの喘ギ 演出助手/吉田凪詐(コトリ会議)
音響・照明:泉宗良
チラシデザイン(表面):泉宗良
制作協力 :阪田愛子
ウイングフィールド提携公演/大阪文化芸術創出事業問合:メールフォームまたはメール(usagino.aegi@gmail.com)
大阪市中央区東心斎橋2-1-27